宇宙ニュース要約: 2025年09月09日

月食・天文現象の映像公開・タイムラプス

2025年9月7–8日の東半球での皆既月食（ブラッドムーン）をめぐり、Timeanddate.comやSpace.comが編集したタイムラプス動画や、NOAAの静止気象衛星GOES-18/19が同日に日食と月食の両方を撮影した高解像度映像が公開されている。映像素材はCIMSS等で配信され、短期的な観測記録として利用可能。

space.com

UAP（未確認空中現象）に関する米下院公聴会

米下院監視委が機密解除タスクフォース設置後、公聴会『UAPの透明性と告発者保護』を開催予定。元軍関係者や報道関係者が証言し、機密センサーが未説明現象を記録しているとの主張や、告発者保護の仕組み見直しが議題となる。公聴会は議事堂から中継される予定で短期的に注目を集めている。

nasa.gov

ISSの活動・人体研究・技術実証

ISSでは日本の大西卓哉/JAXAの短編動画（『平泳ぎしてみた』）公開や宇宙飛行士による娯楽的投稿が続き、微小重力下の人体影響（筋力・骨密度・体液移動）対策や地上アナログ（Human Research Program等）研究が継続中。さらに宇宙から地上ロボットを遠隔操作するSurface Avatarデモや、3D印刷ハビタットの長期滞在実証ボランティア募集、ISSのライブ映像配信など技術実証・広報活動が活発である。

www.nikkei.com

衛星通信市場・周波数取引とD2D競争

米SpaceXがEchoStarの通信周波数帯を約170億ドルで取得する合意を発表し、衛星から直接携帯端末へ接続するD2D（LEO直結）サービスの拡大が見込まれる。一方、欧州ではタレス主導のU DESERVE 5GがLEO直結の3GPP準拠実証を進めるなど競争が激化。消費者向けではStarlinkの各国サービス・料金動向も短期話題になっている。

sorabatake.jp

軌道上サービス・燃料補給・回収インフラの進展

アストロスケールがJSTと衛星向け燃料補給技術で委託研究契約を締結し、REFLEX-Jによる低軌道での化学燃料補給実証を目指す（2029年頃実施想定、最大108億円、約5年）。日本郵船は再使用ロケットの洋上回収システムでClassNKの概念承認を取得、BlackSky/Iceyeらは高頻度更新の地球デジタルツイン構築へ協業を開始、ispaceとDigantaraは地球–月間の把握インフラ協議を開始するなど、軌道サービス・把握・回収のエコシステム整備が進んでいる。

nasa.gov

Artemis II：月周回に名前搭載応募とミッション概要

NASAがArtemis II（約10日間の月周回有人試験飛行）で搭載する記憶媒体に一般から名前を収録する募集を実施中（登録期限・申込URL等が提示）。乗組員はReid Wisemanら4名、打上げは遅くとも2026年4月を目標としており、搭載される名前はOrion/SLS内のSDカードに記録される。一般参加型の広報施策とミッション予定の短期情報。

news.mynavi.jp

打上げ機・エンジンの開発と試験（民間各社の近況）

RelativityのTerran Rは8月の進捗を報告し試験台や構造組立が進行、ISCはP4SDを用いた液体ロケットエンジンの高頻度着火・燃焼試験でリアルタイム監視と即時シミュレーション修正を実証、LJ-2 Heavy初飛行は2025Q4に延期、NovaはStage2構造認証を完了するなど、複数企業で試験・認証・生産の短期進展が続いている。

spacenews.com

宇宙政策・予算・支援制度の短期動向

米商務省が宇宙商務局の2025会計年度予算の一部を差し戻し（約40%）、関連施策が縮小・保留される影響が出ている。英国はUKSAをDSITに統合し独立性喪失への懸念が生じ、日本・東京都は中小企業・スタートアップ向けの宇宙開発助成（最大1億円等）を新設するなど、各国・自治体で短期的な政策・予算の動きが確認される。これらは産業支援や研究継続に即時影響する可能性がある。

sorae.info

天文・惑星科学の注目観測・研究

ESOのVLTが記録的に長い反復性を示すGRB 250702Bを観測して原因解明へ追加解析が必要と報告、ハッブルが星形成領域N11の鮮明画像を公開、JAXAのXRISMが小質量ブラックホールの高速噴出を明らかにした。加えてPerseveranceのサンプル分析記者会見（9/10予定）や火星探査の現地探査進展、TRAPPIST-1eの大気探索、彗星C/2025 A6や全天監視での探査可能性、アポフィス接近に向けた観測ミッション案など、複数の短期的観測・研究成果・計画が報じられている。

space.com

SF・ゲーム関連の話題（文学クイズとEVE派生作品）

記事や企画でSF文学（メアリー・シェリー、H.G.ウェルズ、アシモフ等）を題材にしたクイズが紹介される一方、EVE Onlineのスピンオフ『EVE Frontier』の開発情報が公開され、三銀河合体シミュレーションを用いたゲーム内物理や資源系ゲームプレイが話題になっている。文化・娯楽分野の短期的な注目トピック。

中国の連続打ち上げ（長征7A・捷龍/Jielong 系列）

中国は海南・文昌や山東沖の海上移動式発射台から長征7Aや捷龍三号（SD-3/Jielong-3）等でYaogan-45や吉利（Geesat）等の複数衛星群を打ち上げ、低軌道や中軌道投入に成功している。CZ-7Aのコア段改良で中軌道能力が向上した旨の公式発表やCCTV/CASCの映像が公開され、民間・軍事利用の両面で活動が活発化している。

nasa.gov

CRS/NG-23（Cygnus XL）などISS向け補給ミッション

Northrop Grummanの大型改良型貨物船Cygnus XL（CRS/NG-23/CRS-23相当）がSpaceXのFalcon 9で9月14日（EDT）打ち上げ予定。Cygnus XLは1万1千ポンド超の物資をISSへ運び、Canadarm2で捕獲・取り付けされる見込みで、実験機材（半導体結晶、低温燃料タンク改良、UV除菌、医薬結晶など）が搭載される。他にも今週はProgressやSoyuz打上げを含む複数の補給ミッションが予定されている。

spaceflightnow.com

SpaceXのNusantara Lima（N5）打ち上げと延期状況

SpaceXによるインドネシア向け通信衛星Nusantara Lima（Boeing 702MP、160Gbps級）の打ち上げがケープ・カナベラルから複数回にわたり調整・延期されている。ブースターB1078の再使用や天候制約（積乱雲・アンビル雲・地表電界）が繰り返し問題となり、打上げウィンドウ内で時刻変更とスクラブが発生している。運用開始は2026年初め予定で、同ミッションは商業通信・GTO投入ミッションの一例。

spacenews.com

防衛・SSA関連の動き（人材・追跡技術・官民協力）

米陸軍の宇宙人材拡充や任務再編の議論、SDA関連の人事（Derek TournearのAuburn就任とPWSA衛星打上げ計画）に加え、Varda・LeoLabs・Andurilの共同デモでハイパーソニック追跡とAI解析の実証が行われるなど、防衛用途での衛星データ利活用・追跡技術と官民協力が短期的に注目されている。予算配分と任務重複の統合は課題として残る。

uchubiz.com

Starship/Super Heavyの点火試験とFlight 11準備

SpaceXのStarbaseでSuper HeavyブースターB15を用いた静的点火試験（33基Raptorを約10秒）が実施され、Flight 11に向けた最終確認が進行中。Pad2の設備（デリュージ、チョップスティック等）やMcGregorでのRaptor試験も継続中だが、上段の信頼性や燃料移送など未解決課題があり、Artemis HLS要件との整合性は依然不透明である。