ドイツ政府は2030年までに衛星、地上局、打上げ能力、監視・追跡設備等へ約350億ユーロを投資する計画を表明。目的は露中の脅威に対する抑止・防護能力強化で、衛星コンステレーションや地上インフラ整備、軍と産業の連携を進める。欧州側でもIRIS²等の衛星群開発加速やPPPによる戦場・緊急通信強化の議論が活発化している。
ロケットラボ製の双子火星探査機ESCAPADEが打上げ準備を進め(Blue/Gold)、New Glennでの打上げ予定。加えて火星向け通信周回機・中継インフラや低コストローバー概念(Tumbleweed)など、火星探査の通信・移動手段強化や低コスト試作が進展している。これらは将来有人/大規模探査の基盤技術となる可能性がある。
NISAR(NASAとISROの二波長SAR)は打上げ後に初のL帯/S帯画像を取得・公開。8月21日のメイン州や8月23日のノースダコタ観測で5m級分解能のL帯画像が得られ、樹冠貫通・土壌湿度や地表変動の検出が可能であることを示した。2025年11月から科学運用フェーズ開始予定で、災害対応や農業・生態系監視への応用が期待される。
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は銀河中心近傍の巨大分子雲(さそり座/いて座B2)を中・近赤外で高解像度観測し、密な塵に覆われた“繭”領域やB2が銀河中心ガスの約10%ながら全星形成の約半分を担う活発領域であることを明らかにした。また土星上層大気で前例のない暗いビーズ状斑点と非対称の腕構造を検出し、上層風や乱流の関与などが議論されている。いずれも星形成や惑星大気物理の理解に重要な成果。
NASAはSierra SpaceとのCRS-2契約を改定し、当初のISS往復補給7回の確約を削除。Dream Chaser(Tenacity)の初飛行はISSに接近・ドッキングしない単独のフリーフライヤー実証へ変更され、目標は2026年末とされるが遅延が濃厚。NASAは実証成功後に都度発注する権利を保持する一方、支援は最小限に縮小。Sierraは国防分野への事業シフトを示唆し、ISSの2030年退役を踏まえた商業ステーション等の用途転換を巡る不確実性が指摘されている。
Isar AerospaceはSpectrumロケットでR‑Space向けGreenBox衛星の初打上げ契約を締結(2026Q2予定)。一方、NordSpaceは燃料品質問題で打上げを延期し、パッドでの小規模火災と蒸気発生を報告した。新興企業の打上げ準備と品質管理課題が明確になっている。
ALMAや国際共同観測で原始惑星系円盤や若い星の渦巻き運動、ASKAPによる銀河間に架かる中性水素ブリッジの発見、Euclidの大規模宇宙シミュレーション公開など、宇宙構造・惑星形成・銀河進化に関する複数の新成果が公表された。これらは惑星形成過程や宇宙論の標準模型検証に重要な影響を与える可能性がある。
米宇宙軍はGSSAP後継の軌道監視・近接操作プログラム(RG‑XX)に対し、軌道上給油能力を要件に含める調達を進めている。複数ベンダー採用や燃料種の相違、給油方式(ベンダー持込機材か請負サービス)など課題があり、Northrop GrummanやAstroscale、Orbit Fab等の実証計画が関係する見込み。商用代替やFMS対応も想定され、短期での星座整備が狙いとされる。
ispaceと東北大発のElevationSpaceは月面サンプル回収の実現を目指し基本合意を締結。ispaceのランダー実績(2023/2025で技術実証)と、ElevationSpaceの再突入カプセル/OTV(軌道間輸送)技術を組み合わせ、OTVでの月-地球間輸送と大気圏再突入カプセルの特性評価等を行う。国内外の官民連携で民間初の月サンプル回収事業創出を目指す。
Virgin GalacticはPurdue大学と連携し、2027年にデルタ級宇宙船を用いた微小重力研究ミッション(Purdue 1)を実施予定。研究者チームが搭乗し流体挙動などを実験する計画で、商業微小重力研究の復活と利用拡大が期待されている。
ジョセフ・ペルフリー所長がNASAマーシャル宇宙飛行センター長職を辞任し、副所長が所長代行に就任。マーシャルはSLSやオリオンの生産を管轄する主要センターで、所員は驚きを示しており、NASAは公募で後任を決定する予定。ペルフリー氏はNASA内で別職に留まる可能性を示唆している。
Artemis IIのオリオン宇宙船名が「Integrity」に決まり、乗組員(Reid Wiseman、Victor Glover、Christina Koch、Jeremy Hansen)は月周回試験飛行に向け訓練中。打上げウィンドウは最短で2026年2月5日〜最遅2026年4月で調整中。ミッションは約10日間の月周回を行い、将来の月面着陸(Artemis III)支援を目的とする。
ULAはAtlas VでAmazonのProject Kuiper向け衛星を複数投入(今回で27基打上げ、総数129基に到達)。Kuiperは最終的に3,232機級のコンステレーションを目指し、2026年7月までの半数打上げというFCC期限に向けて打ち上げを加速中。ULAは残りの打ち上げをAtlas Vと将来のヴァルカンで実行予定で、航空会社等との提携(機内Wi‑Fi採用予定)も進む。
SpaceXはEchoStar取得予定の2GHz帯を利用し、最大約15,000機のD2C(衛星→端末直接)衛星コンステレーションをFCCへ申請。音声・テキスト・高速ブロードバンドを端末直結で提供する計画で、現行Starlinkの数倍のスループットを目指し携帯事業者や端末OEM(Apple含む想定)との連携も念頭に置く。承認や端末・運用面の詳細は未確定。
欧州の有識者や機関はIRIS²(EUの衛星通信プログラム)の開発加速を求め、サイバー対策やジャミング対策を含む監視体制の強化を訴えている。Eutelsat/Hispasat/SESなどPPP主体の構築案や多軌道アプローチで主権性・データ保護・緊急通信を確保する方針が検討されている。
SpaceXはファルコン9で複数回にわたりStarlink衛星(24–28基)を打上げ、ヴァンデンバーグ(SLC‑4E)やケープ(SLC‑40)からの打ち上げでいずれも第1段ブースターの洋上着陸に成功。打ち上げはネットワーク拡張向けが中心で、使用ブースターは多数回運用の機体(例:B1082、B1080)だった。打ち上げ映像・ライブ中継が公開され、ネットワーク総数は数千機規模に達していると報告されている。
NASAの火星探査車パーサヴィアランスが採取した試料(イェゼロ盆地・サファイア・キャニオン由来)で、粘土・シルト、有機炭素、硫黄、リンの検出や、ヴィヴィアナイト類似の鉱物斑点が確認された。これらは微生物活動の痕跡である可能性があるが、非生物的生成も否定できず、地球での詳細分析(サンプルリターン)が必要で断定はまだ先になる。
NASAのクリス・ウィリアムズ宇宙飛行士が11月27日打上げ予定で記者会見を実施予定。NASAの新宇宙飛行士候補(Ben Bailey)やJAXAの大西卓哉・油井亀美也による引継ぎ動画公開など、有人活動と広報が続く。中国では神舟20号の船外活動(EVA)が実施され、船外作業と点検が完了したと報告されている。
Cosmoserve Spaceは自律ロボット宇宙船による軌道デブリ対策を開発するインドのスタートアップで、プレシードで約317万ドルを調達。創業者は元ISROの研究者らで、資金はR&Dと技術試作に充当予定。自律的なデブリ捕捉・除去技術の需要が高まる中での新興プレーヤーの動きである。
NASAは軌道高度低下中のガンマ線望遠鏡Swiftの延命のため、Katalyst Space Technologiesに約3,000万ドルのSBIRフェーズ3契約を付与。Katalystは専用キャプチャ機構を備えたLINKデモ機でランデブー・結合して推進力を与え、2026年春に軌道上昇を試みる計画。民間機が運用中の政府衛星を捕捉・延命する初の実例となる可能性がある。
ArianespaceはAirbus Defence and Spaceと契約を結び、ドイツ軍の次世代軍用通信衛星SATCOMBw Stufe 3を2基、Ariane 6で打ち上げる計画を受注。衛星は地上セグメント改修と15年の運用サービスを含み、欧州の独自主権的アクセスと軍通信能力強化に資する案件である。
米SPACECOMは英国に続きフランスと宇宙監視・近接操作(RPO)の共同任務を実施し、同盟国間で共同運用を実務化中。加えてFront Doorが「Space Force Front Door」に改称され、全Space Forceの民間産業窓口となり登録企業や契約創出を促進している。産業連携と同盟国協力を通じた能力拡張が進む。
L3Harris製の地上型電磁戦装置「CCS Meadowlands」の量産機が米宇宙軍の部隊へ導入予定(牽引式で衛星通信妨害能力)。また同社は商業ブロードバンド衛星(Starlink等)を軍用機で利用可能にする暗号化保護済みシステムRASORを実証し、Kuiperとも連携してモジュール式の量産を見込む。軍の衛星通信の民間回線活用と防護強化が進展している。
ispaceはIAC2025で展示・発表を行うほか、北欧デー等で欧州機関と連携強化を図っている。国際会議や展示は技術協力やビジネス連携の場として機能しており、月面探査やローバー試験、欧州との協業が強まっている。
AstraのCEOが公の講演で競合(特にFireflyの設計)を公然と批判し、Fireflyが反論する場面が報じられた。業界では反復設計か大型設計かの論争や、公開での批判が業界協調や支援に影響する懸念が指摘されている。AstraはRocket4で信頼性と低コストの回復を図る狙い。
2025年9月24日、NASAのIMAPとCarruthers Geocorona Observatory、NOAAのSWFO‑L1(後にSOLAR‑1)が打上げられ、L1へ向けて太陽風・宇宙天気監視の体制強化が始まった。IMAPはヘリオスフィアのエネルギー中性原子等を観測して宇宙天気予報を改善、SWFO‑L1は24時間太陽監視でCMEの早期検知を担う予定。打上げは複数記事・公式発表で報告された。
第76回国際宇宙会議(IAC2025)が2025年9月29日〜10月3日にシドニーで開催され、各社・機関がミッション成果や計画を展示。ispaceはブース出展やプレゼンを予定し、国際的なビジネス・技術連携の場として活用される見込み。企業や研究機関の出展・発表スケジュールが案内されている。
米空軍のスペーステスト教育プログラムは修士集中プログラムへ拡大し、将来の宇宙システム開発・試験指導者を養成する計画。併せて地域を巻き込むSTEM学習エコシステムやNASAのSciActによる無料教育資源、大規模なHuman Lander Challengeの公募など、次世代人材育成と技術開発支援の取り組みが活発化している。
Planetはベルリンに新製造拠点を開設し製造能力を2倍化、欧州市場・政府契約への対応を強化。またGeespace(Geely系)はIoT衛星コンステレーションを段階的に展開し全球カバレッジを目指す等、衛星製造・民間コンステレーション拡張の投資・雇用が進んでいる。