ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)などの観測により、カメレオン座星雲にある自由浮遊天体「Cha 1107-7626」が、周囲の円盤から急激に物質を取り込んでいることが明らかになりました。質量は木星の5〜10倍で、星のように磁場を介して物質が降着しており、惑星と恒星の形成過程の境界を曖昧にする重要な発見とされています。
米連邦通信委員会(FCC)は2025年10月を「Space Month(宇宙月間)」と宣言し、宇宙関連の規制簡素化を優先課題とすることを発表しました。衛星コンステレーション計画の増加に対応するため、ライセンス手続きの迅速化や申請の簡素化、明確な期限設定などを進め、米国の宇宙産業のイノベーションを促進することを目指します。
旭酒造の日本酒「獺祭」が、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」で醸造実験を行います。三菱重工と共同開発した醸造装置や酒米などが、10月21日にH3ロケットで打ち上げられる宇宙ステーション補給機「HTV-X」1号機に搭載されます。これは月面での日本酒醸造を目指す「獺祭MOON」計画の第一段階となります。
中国ではロケットの打ち上げ頻度と地上でのエンジン燃焼試験が急増しており、複数の民間企業が年内の初飛行を目指すなど、宇宙開発が活発化しています。また、宇宙ステーション「天宮」では4回目の船外活動が完了し、小惑星サンプルリターンミッション「天問2」の準備も進められています。
UAEの宇宙企業Space42は、フィンランドのIceye社との提携により、UAE国内で初めて組立・統合・試験(AIT)を行ったSAR衛星3機を出荷しました。これは、UAEが衛星の輸入依存から脱却し、国内で高度な宇宙プラットフォームを構築する能力を持つことを示す重要な一歩となります。
フランスの宇宙防衛スタートアップDarkが事業停止を発表しました。同社は、航空機から発射し、他国の衛星を捕獲・軌道離脱させる防衛衛星を開発しており、フランス政府とも契約していましたが、商業化の基盤が整わず事業継続が困難と判断しました。
Blue Originは、大型再利用ロケット「New Glenn」を10月下旬から11月初旬にかけて打ち上げる予定です。このミッションでは、NASAの小型火星探査機「ESCAPADE」が打ち上げられます。ESCAPADEは双子の探査機で、火星周回軌道から太陽風と火星磁気圏の相互作用を同時に観測し、火星の大気が失われた過程の解明を目指します。ロケットは既に発射台へ移動し、打ち上げに向けた試験が進められています。
Blue Originは10月8日、弾道飛行ロケット「ニューシェパード」の15回目の有人飛行を実施しました。6人の乗客の中には、起業家で登山家のダンナ・カラグソソワ氏が含まれており、カザフスタン市民として初めて宇宙空間(高度約100km)に到達しました。飛行時間は約10〜12分で、無事に地球へ帰還しました。
JAXAは、革新的衛星技術実証4号機(RAISE-4)と8機のキューブサットを、米Rocket Lab社のElectronロケットで打ち上げる契約を締結しました。RAISE-4は2025年11月25日から12月24日の間に、キューブサットは2026年1月から3月の間に打ち上げられる予定です。当初はイプシロンSロケットでの打ち上げが計画されていましたが、実証機会の早期確保を優先し、海外ロケットに変更されました。
欧州宇宙機関(ESA)が開発を進める地球型惑星探査機「Plato」の機体組み立てが、オランダにあるESAの試験センターで完了しました。Platoは、多数の小型望遠鏡を用いて広範囲の恒星を観測し、地球に似た大きさや特徴を持つ太陽系外惑星の探査を目的としています。
米国の有力シンクタンクである大西洋評議会は報告書で、米国が中国とロシアに対してハイパーソニック(極超音速)兵器の開発で遅れを取っていると警告しました。報告書は国防総省に対し、攻撃用・迎撃用兵器の生産能力を劇的に拡大し、商業的な大量生産モデルへの転換や開発の加速を求めています。
SpaceXは、スターシップの11回目の統合飛行試験を10月13日にテキサス州のStarbaseから実施する予定です。FAAはこれに伴い、危険区域を設定するNOTAMを発出しました。今回の飛行はBlock 2バージョンの最後の打ち上げとなり、Booster 15-2とShip 38が使用されます。計画では、スーパー・ヘビー・ブースターはメキシコ湾に制御着水し、シップはダミーのスターリンク衛星8機を放出した後、インド洋に着水する予定です。また、耐熱タイルの一部を除去するストレステストや、新しい着陸噴射構成の実証も行われます。
米宇宙開発庁(SDA)は、10月14日にカリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から次回の衛星打ち上げを予定しています。これは、同庁が構築を進める低軌道衛星コンステレーション「Tranche 1輸送層」の第2バッチで、9月の初回打ち上げに続くものです。
欧州のロケット開発・製造企業ArianeGroupの現CEOであるマルタン・シオン氏が、フランスの鉄道メーカーAlstomの次期CEOに指名されました。ArianeGroupは現在、新型基幹ロケットAriane 6の生産拡大と打ち上げ頻度向上の重要な時期にあり、リーダーの交代が注目されます。
Rocket Labは、日本のSAR衛星企業Synspective社のための73回目のElectronミッション「Owl New World」の準備を進めています。ペイロードの統合とロケットへの搭載が完了し、打ち上げ前の最終試験であるウェットドレスリハーサルを控えています。打ち上げはニュージーランドから、10月14日(UTC)以降に予定されています。
土星の衛星ミマスの軌道データを分析した結果、厚さ約20〜30kmの氷の殻の下に、比較的新しい地下海が存在する可能性が示されました。この海は、ミマスの楕円軌道による潮汐加熱によって氷が溶け、約1000万〜1500万年前に形成されたと考えられています。この発見は、生命存在の可能性を探る上で重要な手がかりとなります。
小型SAR(合成開口レーダー)衛星コンステレーションを構築する日本のQPS研究所は、米Rocket Lab社と新たに3機の衛星打ち上げ契約を締結しました。これにより、Electronロケットで打ち上げる衛星は合計7機となります。打ち上げは2026年以降に実施される予定で、36機のコンステレーション構築による準リアルタイム観測の実現を目指します。
大手航空宇宙企業Lockheed Martinは、NASAがアルテミス計画で使用する有人宇宙船「Orion」を商業化し、民間ミッション向けのフライトサービスを提供する構想を提案しています。政府機関だけでなく、他国の宇宙機関や民間企業、研究団体などを顧客として想定しており、ULA社のVulcanやBlue Origin社のNew Glennなど、SLS以外のロケットでの打ち上げも検討しています。
オーストラリア宇宙軍は、宇宙空間での自国のアクセスを確保し、敵による利用を阻止する「スペースコントロール」能力の導入を検討しています。今後10年間で最大120億豪ドルの投資を計画しており、まずは商業衛星や同盟国との協力を活用して能力を構築する方針です。
米宇宙軍は、Blue Origin社に7825万ドルの契約を授与し、フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地に新たなペイロード処理施設を建設することを決定しました。この施設は2028年初頭の完成を目指しており、国家安全保障ミッションを含む年間最大16ミッションの衛星処理能力を持つことになります。これにより、政府と民間が協力して打ち上げ能力の拡大とコスト分担を図ります。
SpaceXは、Amazonの衛星ブロードバンド計画「Project Kuiper」の衛星24基を搭載したFalcon 9ロケットの打ち上げを、悪天候を理由に10月11日へ延期しました。ケープカナベラル宇宙軍基地からの打ち上げで、積乱雲や雷などの懸念から天候条件は好ましくないと判断されています。使用される第1段ブースターB1091は2回目の飛行で、打ち上げ後、大西洋上のドローン船「Just Read the Instructions」への着艦を目指します。
宇宙輸送サービス企業のMomentusは、NASAと総額760万ドルの契約を締結しました。同社の宇宙タグボート「Vigoride」を使用し、2026年10月以降に2つの技術実証ミッションを実施します。一つは半導体結晶成長実験で、地球帰還カプセルを用いてサンプルを回収します。もう一つは、Juno Propulsion社が開発する回転爆発ロケットエンジンの宇宙空間での実証試験です。
完全再利用型の次世代ロケット「Nova」を開発する米国のスタートアップStoke Spaceが、シリーズDの資金調達ラウンドで5.1億ドルを確保しました。これにより総調達額は9.9億ドルに達し、初飛行までの資金を賄う目処が立ちました。調達した資金は、生産能力の拡大やケープカナベラルでの射場準備などに充てられます。
欧州宇宙機関(ESA)は、火星周回探査機ExoMarsとMars Expressを用いて、太陽系外から飛来した彗星3I/ATLASの撮影に成功しました。約1,860万マイル(約3,000万km)離れた暗い天体を捉えたもので、核とコマが確認されました。この彗星は太陽系より約30億年古いと推定されており、ハッブル宇宙望遠鏡やJWSTによる追観測も計画されています。
Shift4社の会長で、民間宇宙ミッション「Inspiration4」の司令官を務めた億万長者のジェレッド・アイザックマン氏が、ドナルド・トランプ前大統領と面会し、NASAの次期長官への指名について話し合ったと報じられました。アイザックマン氏は以前にも同職に指名されましたが、後に撤回されています。