ヨーロッパ南天天文台(ESO)のVISTA望遠鏡に、新型の広視野多天体分光器「4MOST」が設置され、ファーストライト(初観測)を迎えました。一度に2,400以上の天体を観測できるこの装置は、今後15年以上にわたり、数千万の恒星や銀河の特性を解明する大規模なサーベイ観測に貢献することが期待されます。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、補助ロケットなしの大型液体燃料形態であるH3ロケット6号機のエンジン燃焼試験について、年明けに再試験を行うことを検討していると発表しました。7月の試験でタンクの圧力不足が判明したため、対策を施した上での再試験が必要と判断されました。
テキサス州選出のコーニン、クルーズ両上院議員らは、スペースシャトル「ディスカバリー」号の展示場所をバージニア州のスミソニアン航空宇宙博物館からテキサス州のジョンソン宇宙センターへ移転する法案を巡り、スミソニアン協会が連邦資金を不正に利用して反対ロビー活動を行った疑いがあるとして、司法省に正式な調査を要請しました。
土星の衛星エンケラドゥスから噴出する氷の粒子に含まれる有機物の起源について、新たな研究が発表されました。実験により、氷の表面で放射線によってアミノ酸の前駆体などが生成される可能性が示された一方、別の研究では内部海由来の複雑な有機物が検出されており、起源の特定には今後のさらなる探査が必要です。
すばる望遠鏡、ケック望遠鏡、ガイア宇宙望遠鏡のデータを組み合わせた研究により、地球から約55光年の赤色矮星J1446を周回する褐色矮星J1446Bが発見されました。この褐色矮星は近赤外線で約30%の明るさの変動を示しており、雲や嵐といった活発な大気現象の存在を示唆しています。
理化学研究所が運用するキューブサット「NinjaSat」が、中性子星連星「GS 1826-238」で発生するX線バーストの再帰時間が、従来の約3時間から約1.6時間へと半減していることを観測しました。この現象は、局所的な物質の降着増加や内部加熱が原因の可能性があり、小型衛星による機動的な観測の有用性を示しました。
欧州連合(EU)は、2030年までの具体的な目標を定めた「防衛準備態勢ロードマップ2030」を承認しました。この計画には、ガリレオやコペルニクスなどの宇宙資産を活用して弾道ミサイル防衛能力などを強化する「欧州宇宙シールド」の構築が含まれており、宇宙状況監視(SSA)能力の向上も目指します。
インド宇宙研究機関(ISRO)は、11月2日にサティシュ・ダワン宇宙センターからLVM3ロケットで海軍向け通信衛星CMS-03(GSAT-7R)を打ち上げる予定です。重量約4,400kgのこの多バンド衛星は、船舶、潜水艦、航空機間の音声、映像、データ通信を強化します。ロケットの組み立ては完了し、発射台への移動も行われており、打ち上げ準備は順調に進んでいます。
SpaceXの衛星インターネットサービスStarlinkは、2019年のサービス開始以来、累計打ち上げ衛星数が1万基を超え、利用者は150以上の国と地域で700万人を突破しました。その一方で、ウクライナの戦場では帯域幅の不足が地上無人車両(UGV)の遠隔操作を制約し、速度が制限されるといった課題も報告されています。
オーストラリアのHEO Robotics社は、他の衛星を利用して対象を撮影する非地球撮像(NEI)技術により、中国の技術試験衛星XJY-7を複数の角度から観測し、高精度の3Dモデルを構築しました。これにより、同衛星が大型のパラボラアンテナと固定式の太陽電池パネルを持つ合成開口レーダー(SAR)衛星であることが確認され、NEI技術の有効性が示されました。
欧州の航空宇宙大手であるAirbus、Leonardo、Thalesの3社は、それぞれの宇宙事業を統合し、新会社を設立するための覚書に署名しました。この統合は、欧州の宇宙分野における戦略的自律性と国際競争力を強化し、イノベーションと輸出拡大を促進することを目的としており、2027年の稼働開始を目指しています。
米国の宇宙企業Astroboticは、大型月着陸船Griffin-1の打ち上げ目標を、当初の2025年末から最短で2026年半ば以降に延期すると発表しました。機体は現在組み立て中で、エンジンや主要ペイロードの試験が継続中であることが延期の理由とされています。
10月27日にソウルで開催された第5回韓仏宇宙フォーラムにて、韓国宇宙航空庁(KASA)とフランス国立宇宙研究センター(CNES)は、宇宙探査、衛星技術、商業分野における包括的な協力協定に署名しました。両国は再使用ロケットや衛星サービスなど幅広い分野での協力を深化させる方針です。
欧州の地球観測プログラム「コペルニクス」の新しい大気監視衛星センサー「Sentinel-4」が、初の観測画像を公開しました。静止軌道から1時間ごとに欧州全域の大気汚染物質(二酸化窒素など)を高解像度で観測できる能力を実証し、今後の大気質予報の向上に貢献することが期待されます。
Airbusが製造したスペインの軍用通信衛星「SpainSat NG-II」が、10月24日にケネディ宇宙センターからSpaceXのファルコン9ロケットで打ち上げられました。これにより、2機の衛星からなるSpainSat NG計画が完了し、スペイン軍および同盟国に安全な通信能力を提供します。
SpaceXは10月26日、ケープカナベラル宇宙軍基地からファルコン9ロケットを使用し、Starlink 10-21ミッションで28基(一部報道では29基)のスターリンク衛星を低軌道へ投入することに成功しました。24回目の飛行となる第1段ブースターは、大西洋上のドローン船への着艦に成功し、回収されました。この打ち上げは、フロリダのスペースコーストにとって今年89回目、SpaceX全体では今年136回目の打ち上げとなり、スペースシャトル計画の総打ち上げ回数(135回)を上回りました。
SpaceXは、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から、ファルコン9ロケットで28基のスターリンクV2 Mini衛星を打ち上げる「Starlink 11-21」ミッションを10月26日に予定しています。使用されるブースターB1082は17回目の飛行となり、最短での再打ち上げ間隔記録を更新する可能性があります。
衛星通信企業のIridiumは、2025年第3四半期決算で売上高が前年同期比7%増の2.269億ドルとなるなど増収増益を達成しました。また、GNSSの代替となる測位・航法・時刻(PNT)サービス向けに、小型の専用ASICを開発し、2026年中頃に商品化する計画を発表しました。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月26日、種子島宇宙センターからH3ロケット7号機を打ち上げ、新型の無人宇宙補給機HTV-X1号機の軌道投入に成功しました。H3ロケットはこれで5機連続の成功となります。HTV-Xは「こうのとり」の後継機で、国際宇宙ステーション(ISS)への補給能力が向上しています。
日本のispace社は、月面での持続可能なインフラ構築を目指し、2つの重要な提携を発表しました。インドのOrbitAID社とは、将来の月着陸船に推進剤補給インターフェイスを統合するための覚書を締結。また、トヨタ自動車とは次世代小型月面ローバーの概念設計に関する契約を締結し、トヨタの技術知見を活用して開発を進めます。
ケック望遠鏡を用いた観測により、約30億歳の白色矮星LSPM J0207+3331の大気から13種類の重元素が検出されました。これは、直径約200kmの岩石質の天体が潮汐力で破壊され、白色矮星に降り積もった痕跡と考えられています。この発見は、恒星が白色矮星になった後も、数十億年にわたって惑星系の軌道が不安定化し続ける「遅延不安定性」の可能性を示唆しており、今後のGaiaやJWSTによる観測が期待されます。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、企業等との共創を通じて宇宙関連の新たな事業創出を目指すオープンイノベーションプログラム「宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」のイベント「J-SPARC祭り2025」を8月28日に開催しました。立ち上げから7年間の成果や今後の計画を共有し、さらなる参画を促すことを目的としています。
中国の商業宇宙企業である天兵科技(Space Pioneer)は、開発中の再使用型ロケット「天竜3号」に搭載する衛星放出機構の試験を行い、36基の衛星を同時に展開する能力を実証しました。この成功は、中国の商業宇宙分野における多数の衛星を一度に展開する能力の大きな進歩を示しています。
リコーが開発した軽量で柔軟なペロブスカイト太陽電池が、10月26日に打ち上げられたJAXAの新型宇宙補給機HTV-X1号機に搭載され、宇宙空間での実証実験を開始しました。約2ヶ月間にわたり宇宙環境に曝露させ、発電性能や耐久性を評価します。
NASAは2030年までに月面で100kW級の原子炉を設置する目標を掲げていますが、過去の失敗要因を分析し、成功にはマンハッタン計画級の一元的な指導体制、段階的な開発、政府主導の研究開発とインフラ整備、そして規制の整備が不可欠であると指摘されています。商業セクター任せでは中国などに先行されるリスクがあるとの警告もなされています。
中国は10月26日、西昌衛星発射センターから長征3Bロケットを用いて、地球観測衛星「高分14号02」を太陽同期軌道へ投入することに成功しました。この衛星は、既存の「高分14号」シリーズと連携し、全球の高精度な立体地図作成能力を強化することを目的としています。
NASAは、ケネディ宇宙センターのビークル組立棟(VAB)にて、有人月探査ミッション「Artemis II」で使用されるOrion宇宙船(愛称:Integrity)とSLSロケットの結合作業を完了したと発表しました。今後、統合試験を経て発射台へ移動し、打ち上げは最速で2026年2月以降に予定されています。
Rocket Labは、NASAの委託で開発中の液体酸素(LOX)貯蔵実証衛星「LOXSAT」について、衛星バスであるPhoton宇宙機のシステムインテグレーションレビュー(SIR)を完了したと発表しました。今後は環境試験に移行し、2026年初頭にElectronロケットでの打ち上げを予定しています。
ニュージーランド政府が、Rocket Labによって同国から打ち上げられる米BlackSky社の地球観測衛星について、イスラエル軍に利用される可能性があるとの警告を受けていたにもかかわらず、打ち上げを承認していたことが明らかになりました。野党や人権団体からは、人権侵害を助長する可能性があるとして批判の声が上がっています。
2025年8月に打ち上げられた欧州の気象衛星Metop-SGA1に搭載されている次世代赤外大気サウンダー「IASI-NG」が、初の観測データを送信しました。従来機に比べ性能が2倍に向上しており、気温や湿度、温室効果ガスなどを高精度に観測することで、気象予報や気候変動監視の精度向上に貢献します。