米国防総省の宇宙政策担当次官補に指名されたマーク・バーコウィッツ氏は、上院の公聴会で、宇宙軍(USSF)と国家偵察局(NRO)の機能統合など、国家安全保障宇宙能力の効率化に向けた「全ての選択肢」を検討する意向を示しました。中国の脅威への対抗を優先課題に挙げ、ミサイル防衛システム「Golden Dome」の強化にも取り組むと述べました。
SETI研究所は、地球外知的生命体探査(SETI)を加速させるため、NVIDIAの新たなAIプラットフォーム「IGX Thor」をアレン電波望遠鏡(ATA)に導入すると発表しました。これにより、望遠鏡の現場でリアルタイムにAI推論と信号処理を実行し、より広範囲の空を迅速かつ高精度に解析することが可能になります。
欧州の航空機大手エアバスは、2025年1月から9月期の決算を発表し、防衛・宇宙部門が前年の赤字から3億5300万ユーロの黒字に転換したことが全体の業績を押し上げました。純利益は前年同期比46%増の26億ユーロとなりました。
中国は、2030年までの有人月面着陸を目指し、そのための新型ロケット「長征10号」と新型有人宇宙船「孟舟」の初飛行を2026年に実施する計画を発表しました。主要な地上試験は完了していますが、初飛行が有人か無人かなど詳細は未定です。
衛星と携帯電話の直接通信サービスを目指す米AST SpaceMobileは、サウジアラビアの大手通信事業者stcグループと10年間の商業契約を締結しました。契約には1億7500万ドルの前払いが含まれており、サウジアラビアおよび中東・アフリカ地域で2026年第4四半期のサービス開始を目指します。
大手旅行会社の日本旅行と、宇宙旅行事業を目指すISCは、宇宙旅行の商用化に向けた業務提携を締結しました。両社は、ISCが開発中の再使用型宇宙船「ASCA」を用いた宇宙旅行の販売や運営、体験設計などで協力していきます。
民間宇宙ステーション開発を進める米アクシオム・スペースが、東北大学発のスタートアップ、エレベーションスペースと協業で基本合意しました。アクシオムは、エレベーションスペースが開発する地球へのサンプル輸送技術を活用し、将来の商用宇宙ステーションの運用コストを低減することを目指します。
衛星アンテナシェアリングサービスを提供するInfostellarは、イタリアの地上局サービス(GSaaS)プロバイダーであるLeaf Spaceと、日本市場における独占販売代理店となる覚書を締結しました。これにより、Infostellarは日本国内でのマーケティングや事業開発を担当します。
NASAのアルテミス計画を巡り、月面着陸船の契約が再公募されSpaceXとBlue Originの競争が再燃しています。一方、Blue Originは着陸船「Blue Moon MK1」の航法システム試験を完了。ケネディ宇宙センターでは、政府閉鎖の影響を受けながらも、有人月探査ミッション「アルテミスII」用のSLSロケットとオリオン宇宙船の組み立て作業が最終段階を迎えています。
国際宇宙ステーション(ISS)のロシア区画で、10月28日に宇宙飛行士2名が約7時間の船外活動を実施しました。一方で、ISSで長年使用されている米国の船外活動ユニット(EMU)は老朽化が進み、水漏れなどの問題が発生しています。NASA監察官室は保守や品質管理の問題を指摘しており、Axiom Spaceが開発中の新型スーツへの期待が高まっています。
SpaceXは2025年10月29日、ケープカナベラル宇宙軍基地からファルコン9ロケットで29基のStarlink衛星を打ち上げました。これは「Starlink 10-37」ミッションであり、打ち上げに使用された第1段ブースターは海上のドローン船に無事着陸しました。これにより、同社の今年の軌道打ち上げは138回目となりました。
中国国家航天局(CNSA)は、中国宇宙ステーションへ向かう有人宇宙船「神舟二十一号」の乗組員として、張陸氏(指揮官)、武飛氏、張洪章氏の3名を発表しました。打ち上げは長征2号Fロケットにより、2025年10月31日に酒泉衛星発射センターから予定されています。
韓国と米国は、APEC首脳会議に合わせて会談し、AI、宇宙、次世代移動通信などを柱とする「技術繁栄」協力に関する覚書(MOU)を締結しました。両国は宇宙分野での連携を深め、安全な技術開発やサプライチェーン強化で協力していく方針です。
Boeingの防衛・宇宙・セキュリティ(BDS)部門は、2025年第3四半期の売上高が前年同期比25%増の69億ドルに達し、営業利益率もマイナスから1.7%の黒字に転換したと発表しました。米宇宙軍からの大型受注などが貢献し、受注残高は760億ドルに増加しました。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、金星探査機「あかつき」の運用を終了したと発表しました。2010年に打ち上げられた「あかつき」は、主エンジンの故障を乗り越え2015年に金星周回軌道への投入に成功。設計寿命を大幅に超えて観測を続け、金星大気の「スーパーローテーション」の謎の解明などに貢献しました。
JAXAは2025年10月26日、H3ロケット7号機で新型宇宙ステーション補給機「HTV-X1」を打ち上げました。HTV-X1は10月30日に国際宇宙ステーション(ISS)に到着し、油井亀美也宇宙飛行士が操作するロボットアームによって捕捉・結合されました。HTV-X1は従来機より輸送能力が向上しており、物資輸送や技術実証を行います。
United Launch Alliance (ULA)は、ケープカナベラル宇宙軍基地でAtlas VロケットによるViaSat-3 F2衛星の打ち上げ準備を進めています。この大容量ブロードバンド衛星は、陸・海・空のユーザーに高速インターネットアクセスを提供することを目的としており、打ち上げは11月5日に予定されています。
欧州宇宙機関(ESA)は、アジアで初となる常駐拠点を東京・日本橋の「X-NIHONBASHI」に設置しました。これにより、JAXAや日本の宇宙産業、スタートアップとの連携を強化し、地球観測や惑星防衛などの共同ミッションを推進していきます。
メリーランド大学などの研究チームが、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測データを再解析し、太陽系外惑星「WASP-18b」の初となる3次元温度マップを作成しました。この成果は科学誌Nature Astronomyに掲載され、恒星直下の高温域で水蒸気が分解されていることなど、大気の詳細な構造が明らかになりました。
欧州宇宙機関(ESA)は、欧州の安全保障関連分野における自律性を高めるための新計画「European Resilience from Space (ERS)」を推進しています。この計画はリモートセンシングや安全な通信などを統合するもので、初回打ち上げは2028年を見込んでいます。実現には加盟国の支援確保が不可欠となります。
天の川銀河の伴銀河である超低光度矮小銀河「Segue 1」の中心に、太陽の約45万倍の質量を持つ巨大なブラックホールが発見されました。この発見は、銀河の星の運動が暗黒物質ではなく中心のブラックホールによって支配されている可能性を示唆しており、初期宇宙の小型銀河の進化を解明する手がかりとなる可能性があります。
重力波観測ネットワークLIGO-Virgo-KAGRAは、2024年10月と11月に2つの新たな重力波事象「GW241011」と「GW241110」を検出しました。これらの事象は、非対称で高スピンを持つブラックホールの合体を示しており、過去の合体で生まれたブラックホールがさらに合体する「階層的合体」の証拠となる可能性があります。