宇宙ニュース要約: 2025年10月04日

小惑星2025 TFが国際宇宙ステーション（ISS）と同高度で地球を通過

2025年9月30日、直径約1.2〜2.7mの小惑星「2025 TF」が、地上約400kmという国際宇宙ステーション（ISS）とほぼ同じ高度で地球近傍を通過した。この小惑星は最接近後に発見された。

米国政府閉鎖、NASA職員の大部分が休職するもISSなど重要業務は継続

米国政府機関の一部閉鎖に伴い、NASAでは1万5000人以上の職員が一時帰休（休職）となった。国際宇宙ステーション（ISS）の運用やアルテミス計画の開発などミッションクリティカルな業務は約3000人の職員によって継続されているが、一般向けの広報活動などは中止されており、将来の打ち上げ計画に遅れが生じる可能性が懸念されている。

www.eurekalert.org

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、褐色矮星の大気でリン化水素を検出

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡（JWST）が、低温褐色矮星Wolf 1130Cの大気からリン化水素（フォスフィン）を検出した。この発見は、生命の兆候（バイオシグネチャー）候補として注目されるフォスフィンが、生命の存在しない天体でも生成されうることを示しており、将来の地球外生命探査における解釈に注意が必要であることを示唆している。

土星の衛星エンケラドゥスで新たな複雑有機分子を検出

2008年に土星探査機カッシーニが取得したデータを再解析した結果、土星の衛星エンケラドゥスの噴出物から、アミノ酸の前駆体を含む新たな複雑な有機分子が検出された。これは地下の海に生命存在の可能性があることを示唆するもので、将来の探査への期待が高まる。

www.nikkei.com

スウェーデン、宇宙開発を強化し日本との連携を模索

スウェーデンは国営企業による衛星打ち上げ射場の整備を進めるなど宇宙開発を強化しており、大阪・関西万博で開催されたイベントで日本との連携の重要性を強調した。スウェーデン人宇宙飛行士も登壇し、日欧協力による相乗効果への期待を述べた。

www.nasaspaceflight.com

Rocket Lab、中型ロケットNeutronの年内初飛行を目指す

Rocket Labは、開発中の中型ロケット「Neutron」の年内初飛行を目指し、開発が最終段階に入っていることを明らかにした。第2段の耐力試験合格やArchimedesエンジンの燃焼試験成功など、主要なマイルストーンを達成しており、再利用可能なロケットによる大型衛星打ち上げ市場への参入を目指している。

Firefly Aerospaceが全施設で求人を募集

宇宙開発企業Firefly Aerospaceは、すべての施設で人材を募集している。同社はロケット開発や宇宙船製造などを手掛けており、キャリアに関心のある人は公式ウェブサイトで詳細を確認できる。

www.forcesnews.com

英国、衛星を狙うレーザーを検知する新センサーに投資

英国政府は、敵対的なレーザーによる衛星への妨害や攻撃を検知する新しいセンサーの開発に50万ポンドを投資した。このセンサーはUK Space CommandとUK Space Agencyが開発中で、レーザーの特性を解析し脅威を判断する能力を持つ。これは、防衛や経済活動に不可欠な衛星インフラを防護する取り組みの一環である。

CNSA Watcher

中国とパキスタン、初の合同宇宙飛行士ミッションを発表

中国とパキスタンは、初の合同宇宙飛行士ミッションを発表した。2名のパキスタン人宇宙飛行士が今月中に中国へ渡り1年間の専門訓練を受け、2026年10月に中国の宇宙ステーションに1週間滞在する予定。

SpaceX、フロリダからStarlink衛星28基を打ち上げ

SpaceXはフロリダの宇宙センターからファルコン9ロケットを使用し、28基のスターリンク衛星を軌道へ投入した。この打ち上げの様子はオンラインで配信された。

spacenews.com

NRO長官、サイバー攻撃が国家安全保障上の最重要懸念と警告

米国家偵察局（NRO）の長官は、サイバー攻撃が衛星システムにとって最も重要な懸念事項であると述べた。衛星本体、通信リンク、地上システムが攻撃対象となっており、商業衛星の活用拡大に伴い攻撃対象領域も広がっているため、産業界全体での情報共有やセキュリティ対策の強化が急務だと警告した。

aviationweek.com

ジェフ・ベゾス氏、20年以内の軌道上ギガワット級データセンター建設を予測

Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏は、今後20年以内に地球周回軌道上にギガワット規模のデータセンターが建設されるとの見通しを示した。軌道上は24時間利用可能な太陽光や冷却の容易さといった利点があり、地上よりもコスト競争力を持つ可能性があると述べている。

www.eso.org

自由浮遊惑星Cha 1107-7626で記録的な成長バーストを観測

ヨーロッパ南天天文台（ESO）の超大型望遠鏡（VLT）とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡（JWST）の観測により、約620光年離れた自由浮遊惑星Cha 1107-7626が記録的な成長バーストを起こしていることが判明した。この天体は周囲のガスと塵を急速に取り込んでおり、一部の自由浮遊惑星が恒星に近い形成過程をたどる可能性を示唆している。

space.com

彗星A6 (Lemmon)とR2 (SWAN)が10月の夜空に接近

10月、2つの彗星C/2025 A6 (Lemmon)とC/2025 R2 (SWAN)が夜空で観測しやすくなる。特にレモン彗星は明るさを増しており、暗い場所では肉眼で見える可能性がある。条件が良ければ、双眼鏡で両彗星を同時に観測できるかもしれない。

space.com

SpaceX、ヴァンデンバーグからStarlink衛星28基を打ち上げ、年間打ち上げ記録を更新

SpaceXは2025年10月3日、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地からファルコン9ロケットで28基のスターリンク衛星を打ち上げた。これは同基地にとって年間52回目の打ち上げとなり、年間記録を更新した。第1段ブースターは洋上の無人船「Of Course I Still Love You」への着艦に成功した。この打ち上げにより、南カリフォルニアの一部住民はソニックブームを体験した可能性がある。

European Space Agency

ESA、オーストラリアに新しい35m深宇宙アンテナを設置

欧州宇宙機関（ESA）は、オーストラリアのニューノーシアに新しい直径35mの深宇宙アンテナを設置した。これはESAの追跡ネットワーク「Estrack」で4基目の深宇宙アンテナとなり、太陽系探査ミッションなどとの通信能力を強化し、増加するデータ需要に対応する。

space.com

10月4日に国際月面観測ナイト2025が開催

2025年の「国際月面観測ナイト（International Observe the Moon Night）」が10月4日に開催される。このイベントはNASAなどが主導する世界的な天体観測イベントで、世界中で約950件の関連行事が予定されている。当日は月齢約95%の月を観測する絶好の機会となる。

wanaen.com

イラン、初の固体燃料ロケット打ち上げを準備

イランは、チャバハール国立宇宙港の第1期工事（固体燃料ロケット用）がほぼ完成し、初の固体燃料ロケットの打ち上げを準備している。同時に、複数の人工衛星開発計画や中国の月探査計画への参加も進めており、宇宙開発活動を活発化させている。

arstechnica.com

上位50個の宇宙デブリ除去で衝突リスクが半減するとの分析

分析によると、軌道上で衝突を引き起こす可能性が高い上位50個の宇宙デブリを除去することで、将来のデブリ生成ポテンシャルを約50%削減できることが示された。これらのデブリの多くは旧ソ連/ロシア由来のロケット上段だが、近年は中国由来のものも急増しており、除去技術は存在するものの費用負担が課題となっている。

Starship打ち上げに向けた危険区域通知（NOTAM）が発行

次回のStarship打ち上げに向けて、危険区域を示す航空・海上交通への通知（NOTAM）が発行された。主な打ち上げウィンドウは2025年10月13日23:15 UTCからで、10月19日までバックアップ期間が設定されている。

www.satellitetoday.com

米宇宙軍、NSSLフェーズ3でSpaceXとULAに7件の打ち上げ（総額10億ドル超）を発注

米宇宙軍は、国家安全保障打ち上げプログラム（NSSL）フェーズ3のLane 2において、2026会計年度の7件のミッションをSpaceXとULAに割り当てた。SpaceXが5件（計7.14億ドル）、ULAが2件（計4.28億ドル）を受注した。Blue OriginはNew Glennロケットの認証が完了していないため今回は選定されず、2027年度以降の機会を待つことになる。打ち上げにはGPS衛星や広帯域通信衛星（WGS）などが含まれる。

www.satellitetoday.com

EchoStar、2GHz帯のグローバル権利を確保しSpaceXへの売却が進行中

EchoStarは、衛星Lyra-4の90日以上の運用により国際電気通信連合（ITU）の要件を満たし、2GHz帯（Sバンド）のグローバルな周波数優先権を確保した。この周波数帯は、SpaceXがStarlinkのDirect to Cellサービス拡充のために170億ドル超で買収する計画で、現在米連邦通信委員会（FCC）の承認を待っている段階にある。

sorabatake.jp

日本のBULL、Ariane 6へのデブリ低減技術搭載でArianespaceと合意

日本の宇宙スタートアップBULLは、国際宇宙会議（IAC）において、同社が開発するデブリ低減技術「HORN」をアリアン6ロケットに搭載するための実現可能性検討を完了し、2027年以降の飛行実証を目指すことでArianespaceと合意したと発表した。HORNは扇状に展開する膜で大気抵抗を利用し、使用済みロケットを早期に再突入させる技術。

www.satellitetoday.com

ハンガリーの4iG、Axiom Spaceへ1億ドルの出資を検討

ハンガリーのIT・防衛企業である4iG Space and Defenceは、米国の宇宙企業Axiom Spaceへの1億ドルの出資を検討しており、戦略的投資家となる最終段階にある。両社は軌道上データセンター（ODC）の共同開発も計画しており、この投資により協力関係がさらに強化される見込み。

Starlink

Starlink、米国とバングラデシュでプロモーションを実施

SpaceXの衛星インターネットサービスStarlinkは、米国でポータブルな「Starlink Mini」キットを200ドル割引の299ドルで販売している。また、バングラデシュでもミニキットを10%割引で提供するなど、世界各地でプロモーションを展開している。

space.com

世界宇宙週間2025が「宇宙で暮らす」をテーマに開催

2025年の世界宇宙週間が10月4日から10日まで「宇宙で暮らす (Living in Space)」をテーマに開催される。この世界最大の年次宇宙イベントでは、将来の軌道上や月、火星での長期滞在に向けた生命維持システムや放射線防護などの実務的な課題に焦点が当てられる。

kz.kursiv.media

Blue Origin、次期New Shepard飛行でカザフスタン初の女性宇宙旅行者を輩出へ

Blue Originは、次回の亜軌道飛行ミッション「NS-36」の乗員を発表した。6名の乗客にはカザフスタンの起業家ダンナ・カラグソワ氏が含まれ、同国初の民間女性宇宙旅行者となる見込み。これは同社にとって15回目の有人飛行となる。打ち上げ日は未定だが、公式サイトなどでライブ配信される予定。

tass.com

ロシア、ドローン制御用のハイブリッド衛星コンステレーションを開発中

ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスは、通信、航法、光学観測の機能を統合したドローン制御用のハイブリッド衛星コンステレーションを開発中であると発表した。これは民生および軍事分野で急増するドローンの需要に対応することを目的としている。

www.nikkei.com

欧州宇宙機関（ESA）、アジア初の拠点として東京オフィス開設を検討

欧州宇宙機関（ESA）は、アジア初の拠点となる東京オフィスの開設を検討していることを明らかにした。これはJAXAとの連携を強化し、米国や中国が先行する宇宙開発において日欧の存在感を高める狙いがある。詳細は10月下旬に東京で発表される予定。

www.satellitetoday.com

SES、Intelsat買収後に新ブランドを発表

衛星通信大手のSESは、同業のIntelsat買収を受け、合併後の新ブランド「Space to Make a Difference」を発表した。同社は中軌道（MEO）衛星コンステレーションを中核に、多軌道でのサービス提供能力を強みとして市場での差別化を図る方針。