宇宙ニュース要約: 2025年10月24日

www.satellitetoday.com

欧州宇宙大手3社（Airbus、Leonardo、Thales）、衛星事業統合で新会社設立に合意

欧州の航空宇宙大手であるAirbus、Leonardo、Thalesの3社が、それぞれの衛星製造や宇宙関連サービス事業を統合し、新会社を設立するための覚書（MoU）を締結しました。新会社は「Project Bromo」とも呼ばれ、2027年の稼働を目指します。従業員約2.5万人、売上高約65億ユーロ規模となり、米SpaceXのStarlinkなどに対抗し、欧州の宇宙分野における戦略的自律性を強化する狙いです。

www.jaxa.jp

JAXA、H3ロケット7号機による新型補給機「HTV-X1」を10月26日に打ち上げへ

JAXAは、H3ロケット7号機で新型宇宙ステーション補給機「HTV-X1」を10月26日午前9時0分15秒に種子島宇宙センターから打ち上げると発表しました。当初の21日から天候により延期されていました。HTV-X1はISSへの物資輸送に加え、分離後に軌道上で最長1年半にわたり技術実証を行う「二刀流」の能力を持つのが特徴です。また、7号機では地上風による機体の揺れを抑えるための新しい「機体把持装置」が初めて使用されます。

www.edhat.com

SpaceX、ヴァンデンバーグからStarlink衛星28基を打ち上げへ

SpaceXは、10月25日午後7時（太平洋時間）にカリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から、ファルコン9ロケットで28基のStarlink衛星を打ち上げる予定です。第1段ブースターは19回目の飛行となり、打ち上げ後に太平洋上のドローン船「Of Course I Still Love You」への着陸を試みます。

www.nasaspaceflight.com

NASA次期長官人事を巡る対立激化、イーロン・マスク氏も暫定長官を批判

NASAの次期長官人事を巡り、実業家ジャレッド・アイザックマン氏の指名が再浮上する一方、ショーン・ダフィー暫定長官が恒久職を目指して活動しており、両者の対立が続いています。イーロン・マスク氏はXでダフィー氏を「2桁IQ」と公然と批判し、政権との対立が表面化。ダフィー氏が提唱するNASAの運輸省への統合案も物議を醸しており、最終的な判断はトランプ次期大統領に委ねられています。

finance.yahoo.com

Firefly Aerospace、テキサス州シーダー・パーク市の支援で本社を拡張

米宇宙企業Firefly Aerospaceは、本社を置くテキサス州シーダー・パーク市から100万ドルの業績連動型インセンティブを受け、本社施設を拡張します。これにより、2027年末までに300人の雇用増を見込んでいます。

space.com

ケンタウルス族天体「2060チロン」の周囲に4本のリングを発見

ブラジルのピコ・ドス・ディアス天文台の観測により、小惑星と彗星の性質を併せ持つケンタウルス族天体「2060チロン」の周囲に、これまで知られていなかった4本のリング状構造と拡散物質が確認されました。リングの構造は過去の観測から急速に変化しており、リング形成の過程を直接観測した初の事例となる可能性があります。

spacenews.com

Iridium、SpaceXの衛星通信事業拡大を受け長期戦略へ転換

衛星通信企業のIridiumは、SpaceXがEchoStarの周波数を取得し携帯端末への直接通信（D2D）サービスを加速させていることを受け、2030年の収益目標を撤回し、長期的な成長戦略へ軸足を移すことを発表しました。株式買戻しを停止し、産業向けIoTや政府向けサービスに注力する方針で、衛星通信市場の競争激化を示しています。

www.airandspaceforces.com

米専門家、月周辺での中国の活動に対抗するため全政府的な戦略を提言

米国の専門家らは、2030年までに有人月面着陸を目指す中国が月周辺での支配的な影響力を構築する恐れがあるとし、米国はこれに対抗するため、国防総省、情報機関、NASAが連携した全政府的な戦略が必要だと指摘しています。アルテミス計画の推進に加え、国連決議などのソフトパワーを活用して宇宙の非主権原則を守るべきだとの提案もなされています。

uchubiz.com

Japan Space ISACが会員募集を開始、宇宙システムのセキュリティ向上目指す

宇宙関連システムのサイバーセキュリティ向上を目的とする「一般社団法人Japan Space ISAC」が正式に活動を開始し、会員募集を始めました。衛星、地上局、打ち上げ事業者などが参加し、脅威情報を共有・分析することで、業界全体のセキュリティレベルと国際競争力の強化を目指します。

space.com

NVIDIAの高性能GPU「H100」、11月に衛星搭載で初の宇宙へ

NVIDIAの高性能AI向けGPU「H100」が、Starcloud社の衛星「Starcloud-1」に搭載され、11月にSpaceXのファルコン9で打ち上げられる予定です。これは従来の宇宙用プロセッサの約100倍の性能を持ち、軌道上で地球観測データのAI処理やGoogleの大規模言語モデル「Gemma」の実行を試験します。Starcloud社は将来的に軌道上データセンターの構築を目指しています。

space.com

SpaceX、スペインの通信衛星「SpainSat NG II」の打ち上げに成功 2025年139回目

SpaceXは10月24日、ファルコン9ロケットでスペインの通信衛星「SpainSat NG II」をケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げ、静止トランスファ軌道への投入に成功しました。これはSpaceXにとって2025年で139回目の打ち上げとなります。追加の性能が必要だったため、22回の飛行実績を持つ第1段ブースターB1076は回収されず、これが最後の飛行となりました。Airbusが製造したこの衛星は、スペイン政府やEU、NATO向けに安全な通信を提供します。

uchubiz.com

Muon Space、Starlinkの衛星間光通信ネットワークを商用利用へ

米国の地球観測衛星企業Muon Spaceは、自社の「Halo」衛星にSpaceXの小型レーザー通信端末を統合すると発表しました。外部企業がStarlinkの衛星間光通信ネットワークを利用するのは初とみられ、地上局を介さずに迅速なデータ転送が可能になります。最初の対応衛星は2027年第1四半期に打ち上げられる計画です。

spacenews.com

中国の商業ロケット企業、天兵科技と星河動力がIPOを準備

中国の民間ロケット企業である天兵科技（Space Pioneer）と星河動力（Galactic Energy）が、新規株式公開（IPO）の準備を進めていることが報じられました。両社は政府や大規模な衛星コンステレーション計画からの需要を背景に、新型ロケット開発と商業打ち上げの拡大を目指しており、IPOによる資金調達で成長を加速させる狙いです。

spacenews.com

中国、長征5号ロケットで通信技術試験衛星「TJS-20」を打ち上げ

中国は10月23日、海南省の文昌発射場から長征5号ロケットを使用し、通信技術試験衛星「TJS-20」の打ち上げに成功しました。中国航天科技集団（CASC）は、多帯域・高速衛星通信技術の検証が目的と発表していますが、TJS系列の衛星は信号収集や早期警戒といった機密性の高い軍事任務を担っている可能性が指摘されています。

space.com

英国、ロシアによる衛星へのサイバー攻撃や妨害行為を警告

英国政府は、ロシアが軍事衛星に対し、シャドーイング（追跡）、ジャミング（電波妨害）、レーザー照射、サイバー攻撃などを週単位で実行していると報告しました。軌道を汚染する直接的な破壊を避けつつ、衛星の機能を無力化しようとする脅威に対し、英国は対レーザーセンサーの開発や国際協力による防御体制の強化を進めています。

uchubiz.com

ispace、インドOrbitAIDと月面での燃料補給技術で協力

日本の月面探査企業ispaceは、インドのスタートアップOrbitAIDと、標準化されたドッキング・燃料補給インターフェース（SIDRP）をispaceのランダーに統合するための覚書を締結しました。これにより、月周回軌道上での燃料補給や充電、データ送信の信頼性向上を目指し、持続可能な月面経済の構築に向けた日印協力を強化します。

space.com

金星軌道の内側に大型の小惑星「2025 SC79」を発見

カーネギー研究所のスコット・シェパード氏が、太陽の光に隠れて観測が難しい金星軌道の内側で、直径約700mの大型小惑星「2025 SC79」を発見しました。この小惑星は128日で太陽を周回し、太陽系で2番目に公転周期が短い天体です。地球への直接的な脅威はありませんが、このような「トワイライト」天体の追跡は地球防衛にとって重要となります。

www.esa.int

ESA、宇宙環境の健全性を示す新指標「Space Environment Health Index」を導入

欧州宇宙機関（ESA）は、宇宙ゴミ問題の深刻度を単一の数値で示す新しい指標「Space Environment Health Index」を導入しました。この指標は、軌道上の物体の数、軌道寿命、衝突リスクなどを総合的に評価するもので、現在の値は閾値「1」に対し「4」と高く、宇宙環境が悪化しているとして早急な対策の必要性を警告しています。

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中国、有人宇宙船「神舟21号」を打ち上げ準備のため発射台へ移送

3名の宇宙飛行士を乗せて中国宇宙ステーションへ向かう有人宇宙船「神舟21号」と、それを搭載した長征2号Fロケットが、甘粛省の酒泉衛星発射センターの発射台へ移送されました。打ち上げは10月31日頃に予定されており、ミッションの準備は最終段階に入っています。

Blue Origin、ULAのヴァルカンロケット向けに30基目のBE-4エンジンを納入

Blue Origin社は、United Launch Alliance（ULA）の次世代ロケット「ヴァルカン」向けに、30基目となるBE-4エンジンを納入したと発表しました。これは米国の重要な打ち上げミッションを支えるエンジンの安定供給を示す成果となります。