宇宙ニュース要約: 2025年09月11日

JAXA — HTV‑Xを用いた次世代宇宙用太陽電池『SDX』の軌道実証紹介

JAXAがHTV‑Xを実証プラットフォームとして採用し、次世代宇宙用太陽電池「SDX」を軌道上で実証するミッションをショート動画で紹介。Activity Report miniとして公開された短尺映像では搭載モジュールの外観や実証の狙いが示されている。関連の用語訳メモやJAXA関連リンクも提供されている。

www.cfpublic.org

SpaceX／Starship打上げ計画 — FAA草案とPlayalinda Beach閉鎖案への反発

SpaceXのケネディ宇宙センターからのStarship打上げに関し、FAAの草案は打上げのためPlayalinda Beachを年間最大60日閉鎖する案を提示。地元住民は環境影響、漁業への影響、騒音・安全面を懸念して反発する一方、経済効果を期待する声もある。FAAは意見募集を実施しており承認の可能性が報じられている。関連のビデオ映像や現地クリップも公開されている。

uchubiz.com

ispace EUROPE＋ESA — 月極域資源探査ミッションMAGPIEがMDR完了（2028年打上げ目標）

ispace EUROPEとESAの月極域資源探査ミッション『MAGPIE』がミッション定義レビュー（MDR）を完了して次フェーズへ移行。2028年打上げを目標に、ローバー実績のあるプラットフォームに科学機器を統合し電力・熱制御・機動性を検証済み。次期はペイロード成熟化、試作機製造、インターフェース改良に注力し、資金はESA閣僚会議での承認を見込む。

nasa.gov

NASA地球観測／NISARほかの近況（Landsat等の成果と運用移行）

NASAの地球観測プログラムでNISARの打上げ・展開・検証スケジュールやLandsatシリーズの運用・成果（Landsat9の画像枚数到達、Landsat7退役）、GEDIの再開・データ更新、ABoVEの総括などが報告されている。文脈としては地球観測アルゴリズムの適用（例：APアルゴリズムをNISARの土壌水分推定へ適用）や予算・政策面での支援動向も注目される。

www.defensenews.com

Space Development Agency（SDA）Tranche1 — 低軌道輸送層21機打上げ（Falcon 9）

SDAのProliferated Warfighter Space Architecture (PWSA) のTranche1輸送レイヤー向けに、York Space Systems製の21基がSpaceXのFalcon 9で打上げられた。Tranche1は最終的に輸送衛星126基＋追跡衛星28基規模を目指し、ミサイル追尾やLink16の視界外接続などの軍用通信・監視能力を順次強化する計画。運用開始は数か月内の見込みで、以降の追加打上げや資金確保が課題となる。

www.nasaspaceflight.com

国際宇宙ステーション（ISS）向け補給とExpedition 73の活動

ロシアのProgress補給機（複数報告：Progress 93 / Progress MS-32として記載）がバイコヌールから打上げられ、ロシア区画Zvezdaにドッキング予定。加えてNorthrup GrummanのCygnus（NG‑23）等の補給ミッションが予定・準備中。Expedition 73では心臓研究・骨研究・宇宙農業などの実験が継続され、乗組員は補給船の到着を待っている。

uchubiz.com

Perseverance（ジェゼロ） — Cheyava Falls / Sapphire Canyon試料に潜在的バイオシグネチャー発見

NASAのPerseveranceがジェゼロ・クレーターの古い河床（Cheyava Falls起源、サンプル名“Sapphire Canyon”）で、鉄・リン酸塩や鉄硫化物を含む微小な斑点（“ヒョウ柄”）や有機炭素を検出。これらは地球上で嫌気性微生物の代謝副産物と一致する場合があり、潜在的なバイオシグネチャーの可能性が示唆されている。ただし非生物的生成も否定できず、決定的確認には地球での詳細分析（サンプルリターン）が必要。NASAは関連データや研究解説の動画・報告を公開し、MSR（火星試料帰還）の資金・日程問題や国際的な競争も注目されている。

www.astroscale.com

Astroscale Japan — NSILとISSA‑J1のPSLV打上げ契約（インド、2027年春予定）

Astroscale JapanがNSIL（インド）と契約し、ISROのPSLVで大型デブリ2点を検査・診断・特性評価する検査機ISSA‑J1を2027年春に打上げ予定。最終設計・部品製造が進行中で、組立・試験を経て打上げ準備を進めている。日本企業が専用PSLV打上げを調達するのは初めての事例で、インド企業との協業や戦略的展開を含む国際的取り組みとなる。

www.blueorigin.com

Blue Origin — 月面資源利用システム『Blue Alchemist』がCDR完了

Blue Originの資源利用システム『Blue Alchemist』が詳細設計審査（CDR）を完了。レゴリスの溶融電解による酸素・金属・シリコン・ガラス生成を目指す技術で、スケーラブルな月面MRE（Material Resources Extraction）システムとして自律実証や模擬月面試験（2026年予定）に移行。将来的には着陸品質や燃料質量削減による恒久基地化を支援する狙い。

Nusantara Lima（インドネシア通信衛星） — 打上げスケジュール・遅延・中止のやり取り

インドネシア向け静止軌道通信衛星Nusantara Lima（ボーイング702MP搭載、160Gbps超）は打上げスケジュールが複数回設定・調整され、天候遅延や打上げ中止の発表が出るなど不確実性が続いている。SpaceXによる打上げ（Cape Canaveral Pad 40）準備や中止通告、スケジュール変更情報が断続的に報じられている。

spacenews.com

Boeing — 衛星用ソーラーアレイ基板の積層造形（3Dプリント）導入

Boeingが衛星用ソーラーアレイの構造基板に積層造形（3Dプリント）を導入し、生産時間の短縮（組立期間を最大数か月短縮）や生産効率向上（最大50%改善の見込み）を達成。初採用は小型衛星向けでロボット組立や自動検査との組合せで量産化を狙う。関連の技術・市場展開が進行中。

373news.com

JAXA（種子島） — イプシロンS第2段エンジン試験中の爆発と再試験計画

JAXAは種子島宇宙センターで行った固体燃料ロケット『イプシロンS』第2段エンジンの燃焼試験中に爆発が発生したと報告。原因は調査中で、圧力容器検証のため1/5モデルでの再試験を行う予定。試験中の写真が公開されている。

gazette.com

米空軍／宇宙軍関連 — 新制服導入スケジュール（米スペースフォース）と移転等動向

米国スペースフォースは新しいサービスドレス制服の採寸・発注を段階的に実施すると発表。先行対象（採用担当、訓練教官等）は2025年11〜12月、一般のオンライン注文は2026年1月開始、義務着用日は全員配布後に少なくとも12か月前通告で設定される。また関連として米宇宙コマンドの本部移転や基地／防衛分野の雇用動向など軍関係の人事・施設整備動向も報じられている。

space.com

SpaceX／EchoStar — スターリンク向け周波数買収（直送セル強化）

SpaceXがEchoStarから大規模な周波数バンド（Hブロックスペクトラム、約170億ドル相当）を買収し、Starlinkのdirect-to-cell（衛星直送セルラー）能力を強化。買収によりEchoStarのLEO計画は終了し、取得周波数は4G/5Gの音声・データ伝送に活用、次世代衛星でカバレッジとスループットが大幅に向上すると見込まれている。地域提供の進展（例：日本での商用サービス等）も注目点。

space.com

はやぶさ2（リュウグウ試料） — 長期間の氷存在と後期の液体水流動の証拠

はやぶさ2が持ち帰ったリュウグウ試料の分析で、元天体の内部に氷が10億年以上存在した痕跡や、ルテチウム–ハフニウム同位体比の異常から形成後約10億年経て液体の水が岩石を流れた証拠が示された。研究はNature等で報告され、炭素質小惑星が長期間水を保持し地球へ水を供給した可能性が示唆されている。追加解析で天体の水含有量（地球海水換算での寄与）についても推計が示された。