宇宙ニュース要約: 2025年09月12日

ロシアのProgress補給船（MS‑32 / Progress 93 系列）の打上げとISSドッキング

ロシアはソユーズ‑2.1aロケットでProgress系補給船を打ち上げ、ISSのロシア区画ズヴェズダ（あるいはズヴェズダ後部ポート）へ自動ドッキングを予定・実施しました。搭載物資は約2.5〜3トンの食料・燃料・物資で、複数の報道・配信や公式案内で打上げ時刻とライブ中継案内が出ています。

news.mynavi.jp

はやぶさ2試料と隕石の同位体解析が示すC型小惑星の長期氷保持

東京大学らのLu–Hf同位体分析で、C型小惑星母体が形成後少なくとも10億年以上にわたり氷を保持していた証拠が示されました。後の衝突で氷が溶け液体水が流出し同位体組成が変化したと解釈され、C型小惑星が地球へ供給した水の量は従来推定より多い可能性（20–30wt%相当）が示唆されます。

nasa.gov

Sentinel‑6B：海面高度観測衛星の打上げ予定（海運安全・海面上昇監視）

NASAとESA等が主導する海面高度観測衛星Sentinel‑6Bが11月打上げ予定で、near‑real‑timeの海面高・波高・風速データを提供し、海流と波の相互作用による危険予測を支援します。30年超にわたる連続観測を継承し高精度基準データの延長が期待されています。

sorae.info

アストロスケールの大型デブリ観測衛星ISSA‑J1：NSILと打上げ契約（PSLV）

アストロスケールが衛星デブリ観測技術実証衛星「ISSA‑J1」をインドのNSILと契約し、PSLVで2027年春にサティシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げることが決まりました。ISSA‑J1は大型デブリ近傍の撮像・診断を行うミッションで、設計最終段階にあり組立・試験へ移行しています。国内外で注目されるデブリ対応ミッションの一つです。

space.com

SpaceXのFalcon 9：Nusantara Lima打ち上げと一連の打上げ準備・実施

SpaceXがケープカナベラルSLC‑40からインドネシア向け通信衛星Nusantara LimaをGTOへ打ち上げ、上段は予定軌道へ投入、1段目は海上無人ドローン船「A Shortfall of Gravitas」への着船に成功しました。打上げ時刻や天候に関する繰り返しの打ち上げウィンドウ調整やベント、T‑0再設定などの準備状況や当日の映像・テレメトリ報告、打上げ前後の現地報道・映像が複数回にわたり伝えられています。

news.mynavi.jp

SubaruとJWSTが明らかにした塵に隠れた初期宇宙の明るいクエーサー

すばる望遠鏡とジェームズ・ウェッブ望遠鏡の連携観測で、塵に覆われ紫外線を大部分吸収する明るいクエーサー複数（例：7件）を検出しました。これらは数兆太陽級の光度と数十億太陽質量級の超大質量ブラックホールを持ち、塵で隠れた個体を含めると初期宇宙のクエーサー数は従来推定の約2倍に達する可能性が示唆されています。

uchubiz.com

ICEYE Gen4の商用運用開始（第4世代小型SAR）

フィンランドのICEYEが第4世代小型SAR衛星Gen4の商用運用を開始しました。最大で約16cm解像度、観測幅150–400km、1日最大500枚取得、同一地点を15分未満で再撮像可能。軌道上でほぼリアルタイム処理し最大700Mbpsで伝送、船舶・航空機・車両を90％超で識別するDetect & Classify機能を備え、ITAR非該当で地上局整備や訓練を含む短期運用開始パッケージを提供します。

spacenews.com

宇宙スタートアップの資金調達・成長動向（Messium, Apex, Cailabs, Rendezvous Robotics等）

複数の宇宙系スタートアップが資金調達や成長を報告しています。英国のMessiumはハイパースペクトルで作物窒素監視を目指しシード資金を調達、ApexはシリーズDで2億ドルを調達しユニコーン入り、Cailabsは光学地上局生産拡大のため約6700万ドルを調達、Rendezvous Roboticsは宇宙インフラ向けロボットでプレシード資金を獲得しました。各社とも製品化・量産・商用展開に向け投資を加速しています。

Starship開発動向：StarbaseでのShip 38静的燃焼準備と関連映像

SpaceXのStarbaseではShip 38の静的燃焼試験準備がPad 1で進められており、Pad 2ではBlock 3搭載Starshipのフライトデビュー準備が継続されています。関連の映像や解説動画（例：NASASpaceflight制作）でQDアダプター設置や製造現場、タンク・配管搬入などの様子が公開されています。

space.com

太陽のコロナホールによる高速太陽風と磁気嵐予報（9/13–14頃）

巨大な蝶形コロナホールが高速太陽風を放出しており、9月14日頃に地球到達が予想されています。これにより9/13–14にかけてG1〜条件次第でG2程度の磁気嵐が発生する可能性があり、北半球中高緯度や南極周辺でオーロラが観測される見込みです。予報には不確実性があり注意が呼びかけられています。

news.mynavi.jp

手のひらサイズの水イオンエンジン（Pale Blue）の軌道稼働成功

Pale Blueが開発した手のひらサイズの水イオンエンジンPBIが世界で初めて軌道上で稼働することに成功しました。1U+クラスで即時作動、暖機短縮、高トータルインパルスを実現し、軌道維持やクラスター運用に有用。推進剤に水を用いることでサプライチェーン簡素化やコスト低減が期待されています。

space.com

衛星画像に写り込んだStarlinkと撮像アーティファクト（Maxarのゴビ砂漠画像）

Maxarの高解像度地球観測画像に、軌道上のStarlink衛星（機体番号33828）が写り込み、パンシャープニング処理に起因する虹色のスペクトルアーティファクトや幽霊像が確認されました。この偶然の映り込みは低軌道衛星の増加が観測や画像処理に与える影響を示す事例として注目されています。

www.phonearena.com

Starlinkの事業拡大・周波数取得と市場影響（EchoStar取得など）

SpaceXがEchoStar由来の周波数帯（AWS‑4/Hブロック相当）を取得し、衛星から直接携帯端末へ高帯域接続を目指す計画を進めています。実現には端末対応やMVNO的合意等で約2年程度を要する見通し。これを巡り通信事業者や競合（例：AST SpaceMobile、イリジウム市場への影響）を巡る競争懸念や格下げなど金融面の反応が出ています。また各国での提供許可（例：レバノン）が報じられています。

nasa.gov

NASAの人事とArtemis II：計画進捗と乗組員科学実験

NASA暫定長官ショーン・ダフィー（兼運輸長官）はArtemis計画を迅速に推進すると強調し、中国の月面先取りを許さないと述べました。Artemis IIでは乗組員が被験者兼研究者として睡眠・ストレス・認知・免疫・放射線など7分野のデータを採取し、着陸や長期探査への知見を得る計画です。日程としてArtemis IIは2026年の月周回を目標にしていますが、着陸（Artemis III）等は不確実性が残ります。

sorae.info

火星のPerseverance試料：微生物活動起源の可能性とMSRの不確実性

NASAのPerseveranceが採取したCheyava Fallsの岩石に、微生物活動起源の可能性がある鉱物（ビビアナイトやグレイジャイト）が含まれる可能性がNature誌で報告されました。ただし決定的な結論は地球での詳細なサンプル分析（Mars Sample Return）を待つ必要があり、MSRは費用や予算の問題で実現時期が不透明であるとNASAで議論されています。