宇宙ニュース要約: 2025年09月30日

JAXA：社会環境報告書2025公開とIACでの展示/発表

JAXAが『社会環境報告書2025』を公開。ガバナンス、環境、SDGs、宇宙・航空技術の取り組み等を網羅。あわせてIACシドニーでははやぶさ2サンプル展示や月土壌分析機の模型展示、複数セッションでの発表・ネットワーキングを行っている。

Cosmic Shielding：Plasteel遮蔽で軌道上GPU試験成功とAFRL資金獲得

軽量ナノ複合材Plasteelを使ったGPU放射線遮蔽外装を開発。AetheroのキューブサットでNvidia Jetsonの軌道試験に成功し、AFRLからTACFI契約（約400万ドル）を獲得。遮蔽後性能予測モデルを作成中で、軌道での最新AIチップ実用化の可能性が示された。

spacenews.com

政府契約と民間投資／宇宙ファイナンスの動向（商業ステーション・衛星サービス等）

政府契約が商業宇宙ステーション、衛星サービス、宇宙物流への投資を促進し、再利用や再目的化を支える基盤を形成。多くの企業は当面政府需要を重視し、技術実証後に民需拡大を見込む。一方、三菱UFJ信託がスペースワン向け債権を裏付けとする個人向け金銭信託商品を販売開始するなど、宇宙関連投融資商品の提供も進んでいる。

space.com

まとめトピック：最近の科学・探査・地球観測の結果と実験

複数の探査・観測・実験の短期的ハイライト：NASAのPerseveranceがジェゼロ縁Bright Angelで微生物関与を示唆する泥岩観測・サンプル採取、Curiosityは次掘削地点探索を継続、ISS上でのRing‑Sheared Drop実験によるタンパク質凝集解析結果の公開、NISARの予備画像で地表被覆識別が可能であることの示唆、ALMAで原始円盤の渦巻き運動検出（惑星形成前段階の発見）、ハッブルの大マゼラン雲N11画像公開、Johns HopkinsのImageMMによる地上望遠鏡画像高精細化、東京大学の衛星由来河道幅からの流量推定研究、Biosphere 2での一次遷移実験など、地球・太陽系・天文学の多分野で成果発表やデータ公開が相次いでいる。

news.mynavi.jp

HondaとAstrobotic：月面向け拡張型統合電力システム共同開発

Honda米法人とAstroboticが協業し、月面（南極）での持続的電力供給を目指す統合電力システム（高圧水電解＋燃料電池＋太陽追尾垂直型太陽電池 VSAT/VSAT‑XL）のフィジビリティスタディを実施。発電シミュレーションや機器最適化を通じ、有人活動や月面インフラの電力基盤強化を目指す。

www.satellitetoday.com

通信ローミング：KPNとOQ Technologyの戦略的提携（NTN）

KPNがOQ Technology（衛星NTN事業者）と戦略的ローミング提携を締結。陸域や海域でOQのLEO衛星網へ接続可能となり、極域や高緯度海域、視界遮蔽地域でのIoT接続が強化される。海運・物流・エネルギー等での運用効率や安全性向上が期待される。

www.nasaspaceflight.com

SpaceX Starbase：Pad整備・散水（デルージ）システム強化

Starbaseで散水（デルージ）システムやフレームトレンチの水回収・再利用、タンク増設、ブラスト壁、流出池、ホールドダウンクランプ等の施設整備が進行中。Pad 2での試験強化やPad 1の最終運用準備、次期飛行での初運用を想定した構築が継続されている。

space.com

天文普及・写真関連：クイズと機材セール／観測イベント

天文入門〜愛好家向けの夜空クイズ（Space.com）やハッブルに関するクイズ企画の紹介、並びにWalmartでのCanon EOS R5 Mark IIとレンズのバンドル割引情報。オリオン座流星群（10/2–11/12、ピーク10/20付近）は撮影好機としても案内されている。

space.com

IAC2025（シドニー）：主要機関の計画表明と議論の焦点

IAC2025で各国主要宇宙機関が今後計画を発表（NASAのArtemis予定、ESAのVision2040、ISROの有人計画、各国の協力・デブリ対策等）。会議テーマは「持続可能な宇宙」で、D2Dや防衛需要、スペクトラム問題が議論を牽引。参加者約7000–8000人規模。

spaceflightnow.com

Axiom Space：Project Astronaut 初参加者と訓練プログラム

Axiom SpaceはProject Astronautの初参加者にポルトガルの生理学者Emiliano Ventura氏を選定。6か月の試験的訓練で遠心機、パラボリック飛行、高度チャンバー、宇宙服操作などを実施し、微小重力適応など人間側の研究を進める計画。国際宇宙会議での発表・訓練風景も報告されている。

news.mynavi.jp

QPS：小型SAR（QPS‑SAR）とIoT浸水センサによる水害対策実証

久留米市と民間複数社が協定を締結。QPSの小型SAR（昼夜・天候不問で最大46cm分解能）と市内15基のIoT浸水深センサを3D都市モデルと統合し、遠隔での浸水把握や避難支援の迅速化を実証。QPSは2028年に24機、最終36機のコンステレーションで準リアルタイム観測（平均10分間隔）を目指す。

news.mynavi.jp

ispace と Telespazio：軌道間輸送（OTV）とMoonlight連携のLOI

ispaceと伊Telespazioが意向表明書を締結。ispaceのOTVを用いた月周回軌道輸送と、Telespazio主導のMoonlight（月周回通信・航法コンステレーション）を連携し商業化や通信・航法サービスの提供、ビジネスモデル検討を進める意向を示した。

uchubiz.com

BULLのPMD装置「HORN」とArianespaceの合意（Ariane 6搭載へ）

宇都宮のスタートアップBULLが開発する宇宙ごみ発生防止／離脱短縮装置「HORN」をアリアン6のDual Launch Systemに実装することでArianespaceと合意。2027年以降の飛行実証を目標に検討を継続し、本格的な軌道性能実証へ移行する予定。

spacenews.com

Kayhan Space：大量衛星カタログの高速可視化ライブラリ公開

ブラウザ上で数千機規模の衛星カタログをGPU活用でリアルタイム表示できる無償ライブラリ sgp4.gl を公開。開発者向けの組み込み提供で、デモやGitHubリポジトリが公開されている。軌道カタログの可視化・共有技術の普及に寄与する動き。

uchubiz.com

SynspectiveとRocket Lab：ElectronでSAR衛星追加受注

SynspectiveがRocket LabのElectronで追加10機の小型SAR衛星打上を合意し、Rocket Labとの契約は計21機に拡大。これにSpaceX分3機を含めると合計24機となり、StriXシリーズのコンステレーション拡大とサービス信頼性向上が期待される。Exolaunch経由の残契約分も控える。

nasa.gov

PSIデータベース：大容量1GB超のダウンロード手順変更

PSIデータベースで1GB超の大容量リクエストはウェブ直ダウンロードではなく、処理後にメールで分割ダウンロードリンクを送付する方式へ変更。ユーザはファイル選択→Download Zip→メール確認で申請し、リンクは7日間有効。分割や必要最小限申請が推奨されている。

www.nasaspaceflight.com

今週の打ち上げ予定：Starlink×2／Kuiper×1／Rocket Lab

今週はSpaceXのStarlink打ち上げが最大2回、AmazonのProject Kuiperが1回、合計で最大3回の打上予定。Starlink Group 11‑39（SLC‑4E）は28基のv2 Miniを投入予定、Kuiper KF‑03はLC‑39Aからの投入見込み。Rocket Labは改造ElectronでHASTE超音速研究飛行を予定している。

uchubiz.com

東北地域の宇宙産業振興に向けた広域連携検討（経産省東北局）

経産省東北経済産業局が角田市、能代市、南相馬市と連携し、地域の宇宙産業振興に向けた広域連携検討を開始。JAXA角田宇宙センターや能代ロケット実験場、福島イノベーション・コースト等の拠点を活かし、ニュースペース企業の集積・成長促進と経済波及効果拡大を目指す。

news.mynavi.jp

Project PLATEAU：3D都市モデル＋SARで震災直後の被害推定実証

スペースシフトとWHEREが、Project PLATEAUで3D都市モデルとSARデータを組み合わせ、建物単位の被害推定や道路通行可否推定を震災直後に実施する実証を開始。能登半島地震被災地域で検証し、取得データを被災自治体へ無償提供の上、2026年に民需提供を目指す計画。

ULA

Amazon Project Kuiper：Atlas V（Kuiper 3）打上

ULAのAtlas VがKuiper 3（Project Kuiper）を打ち上げ、Amazonの全球接続計画拡大に寄与。打上はケープのSLC‑41から行われ、打上成功写真や映像が公開されている。今後のKuiper衛星群整備の一環として位置付けられる。

uchubiz.com

NASAマーシャル宇宙飛行センター所長の辞任

NASAマーシャル宇宙飛行センター（MSFC）所長のJoseph Pelfrey氏が辞任。MSFCはSLSやISS関連運用を担う重要センターで、後任公募が行われる。主要センター長の相次ぐ交代が指摘される中での人事変動となった。

spacenews.com

NASA予算案（PBR）と人員・安全への懸念

上院民主党の報告や内部通報で、NASAが2026年度PBR（約25%削減案）を事前基準として運用に反映しており、人員削減・自主退職が相次いで安全や運用にリスクを与えていると指摘。政府閉鎖等のリスクやOMBの動きも懸念材料として挙げられている。

space.com

Firefly Alpha：第1段ブースター損失（Briggs試験で爆発）

テキサス州Briggsでの受入・地上試験中に、Flight 7用のAlpha第1段ブースターが異常で破壊・喪失。負傷者なし。Flight 6での機体問題を受け耐熱層増厚や迎角低減等の対策を行っていたが、打ち上げ再開時期は未定で影響を調査中。ロッキード向け商業打上げへの影響が懸念され、Firefly株価等にも動きが出ている。

SpaceX

SpaceX：Starship Flight 10の成果とFlight 11の予定

Starshipの第10回試験飛行（2025/8/26）は主要目標を達成し、次世代Starship/Super Heavyの設計に重要なデータを提供。第11回飛行は最短で2025/10/13に予定され、RTLS等の模擬機動や再突入脆弱部の意図的試験などを行う見込み。公式ライブ視聴ページや配信案内も発表されている。

sorae.info

Dream Chaser（Sierra Space）／CRS‑2契約の変更

NASAとSierra SpaceはCRS‑2契約を変更し、従来の「最低7回」補給義務を撤廃。初飛行はISS補給ではなくフリーフライトへ変更、開発支援は2026年後半を目標に継続。ISS運用終了（2030予定）を踏まえた契約見直しが行われた形。

nasa.gov

NASAの新宇宙飛行士候補10名を発表

ジョンソン宇宙センターで新たな宇宙飛行士候補10名が発表。約2年の多面的訓練を経て低軌道・月・火星向けの飛行資格を目指す予定で、宇宙医学や船外活動、飛行訓練など幅広いプログラムが組まれている。

space.com

ヴァンデンバーグ発Falcon 9打上：夕空の“ジェリーフィッシュ”目撃

2025/9/28にヴァンデンバーグからFalcon 9が28基のStarlinkを打上。夕暮れ条件で上空排気が拡散し“ジェリーフィッシュ”状に見える現象が西海岸各地で目撃・報告され、流星学会にも報告が寄せられた。第1段は無人船に着陸して回収された。