宇宙ニュース要約: 2025年10月22日

中国LandSpace、再利用ロケット「朱雀3号」の燃焼試験に成功

中国の民間宇宙企業LandSpace（藍箭航天）は10月20日、再利用可能な液体メタンロケット「朱雀3号（Zhuque-3）」の第1段機体の静的燃焼試験（ホットファイア試験）に成功したと発表しました。同社は年内の初飛行を目指しており、軌道投入と第1段の垂直着陸・回収を試みる予定です。朱雀3号はステンレス製で、LEOに最大21.3トンのペイロード能力を持ちます。

sorae.info

QPS研究所、SAR衛星14号機「ヤチホコ-I」を11月6日以降に打ち上げ

日本のSAR衛星コンステレーションを構築するQPS研究所は、14号機となる「ヤチホコ-I」を日本時間2025年11月6日以降にRocket Lab社のElectronロケットで打ち上げることを発表しました。同社による打ち上げは6回目となります。QPS研究所は最終的に36機の衛星で準リアルタイムの地球観測を目指しています。

www.aftau.org

初期宇宙の大質量星は70%以上が連星だった可能性

テルアビブ大学などの研究により、宇宙の初期に誕生した大質量星の多くは、単独ではなく連星として生まれていたことを示す強力な証拠が得られました。この発見は、超新星爆発やブラックホールの形成、銀河の化学進化に関する理解を大きく変える可能性があります。

www.nikkei.com

NASA、Artemis月着陸船契約を再競争へ、SpaceXマスク氏と対立激化

NASAのショーン・ダフィー暫定長官は、Artemis III計画の月着陸船(HLS)開発でSpaceXのStarshipに遅延が生じているとして、同社との単独契約を見直し、Blue Originなど他社も参加する再競争に切り替える方針を表明しました。これに対しSpaceXのイーロン・マスクCEOはSNSでダフィー氏を「Dummy（間抜け）」などと激しく非難し、対立が表面化。NASAは中国との月開発競争を念頭に計画の加速を目指しており、業界に代替案の提出を求めています。この対立はNASAの組織不安も招いています。

english.news.cn

嫦娥6号の月試料から太陽系外縁由来の希少な隕石片を発見

中国の月探査機「嫦娥6号」が月の裏側から持ち帰った試料の中から、地球上では非常に希少な「CIコンドライト」と呼ばれる種類の隕石の破片が発見されました。この隕石は太陽系外縁部で形成されたと考えられ、初期の地球や月に水や有機物をもたらした物質の起源を探る手がかりとなります。

skyandtelescope.org

エンケラドゥスの噴出物から新たな有機分子を発見、生命存在の可能性高まる

土星探査機カッシーニの未解析データを再分析した結果、土星の衛星エンケラドゥスの地下海から噴出する水蒸気から、これまで知られていなかった複雑な有機分子が複数検出されました。これは地下の熱水活動で生命誕生につながる化学反応が進んでいる可能性を示唆しており、エンケラドゥスの居住可能性を高める発見です。

news.mynavi.jp

国立天文台など、褐色矮星の直接撮像に成功、大気現象の可能性も

国立天文台などの研究チームが、すばる望遠鏡やケック望遠鏡を用いて、地球から約55光年離れた恒星を周回する褐色矮星の直接撮像に成功しました。この褐色矮星では約30%の明るさの変化が観測されており、雲や嵐といった大気現象が存在する可能性が示されています。

europeanspaceflight.com

EU、宇宙防衛構想「European Space Shield」を導入へ

欧州連合（EU）は、防衛能力強化の一環として「European Space Shield」構想を導入する計画です。2026年第2四半期からの導入を目指し、宇宙状況認識（SSA）、通信妨害対策、衛星の検査能力などを強化し、宇宙空間での作戦能力を向上させることを目的としています。

cmns.umd.edu

JWST、若い星の周囲の氷からエタノールなど複雑有機分子を検出

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡（JWST）が、大マゼラン雲にある若い星の周囲で、氷の中にメタノールやエタノールといった複雑な有機分子が存在することを突き止めました。金属量が少ない初期宇宙に似た環境でも生命の材料が形成されうることを示唆する重要な発見です。

news.mynavi.jp

ispace、次世代小型ローバー開発でトヨタ自動車と協力

月面探査企業ispaceは、開発中の次世代小型ローバーについて、トヨタ自動車と技術評価や品質向上を目的とした支援契約を締結しました。トヨタがJAXAと共同開発する有人与圧ローバー「ルナクルーザー」の知見を活用し、ispaceのローバー開発を加速させることが狙いです。ispaceはミッション3以降にローバーを月へ輸送し、走行データサービスを提供することを目指しています。

SpaceXのStarship、飛行11号機で開発はV3へ移行

SpaceXの大型宇宙船Starshipは、11回目の飛行試験をもってバージョン2（V2）の開発を終了し、次世代のバージョン3（V3）へ移行しました。現在、発射台の改修やサービス塔の整備、エンジン「Raptor 3」の量産がテキサス州の拠点で進められています。NASAの資料でもV3の存在が確認されており、月面への精密着陸に向けた開発が加速しています。

www.floridatoday.com

SpaceX、スペインの通信衛星「SpainSat NG-II」を打ち上げ予定

SpaceXは、ケープカナベラル宇宙軍基地からFalcon 9ロケットを使用し、スペインの衛星通信事業者Hisdesatの通信衛星「SpainSat NG-II」を打ち上げる予定です。この衛星は政府および軍事用途の通信を担い、設計寿命は約15年です。今回のミッションでは、ブースターは回収されず使い捨てとなります。

www.esa.int

Copernicus Sentinel-4が初画像公開、欧州の大気汚染を毎時観測

欧州の地球観測プログラム「Copernicus」の最新センサーSentinel-4が、初の観測画像を公開しました。静止軌道から欧州と北アフリカの大気汚染物質（窒素酸化物、二酸化硫黄など）を1時間ごとに観測する能力を持ち、汚染の発生源や移動を高頻度で追跡できます。これにより、大気質の監視・予測精度の大幅な向上が期待されます。

uchubiz.com

NASA、Artemis IIミッションのオリオン宇宙船をSLSロケットに搭載完了

NASAは、1972年以来の有人月周回ミッションとなるArtemis IIに向け、宇宙飛行士4名が搭乗するオリオン宇宙船「Integrity」を、超大型ロケットSLS（スペース・ローンチ・システム）の上部に搭載しました。打ち上げは2026年2月から4月の間に行われる可能性があります。

www.esa.int

Copernicus Sentinel-1D、11月4日のAriane 6での打ち上げに向け準備完了

欧州の地球観測プログラム「Copernicus」のレーダー衛星Sentinel-1Dが燃料注入を完了し、11月4日にAriane 6ロケットで打ち上げられる予定です。この衛星は、11年間運用されたSentinel-1Aの後継機として、Cバンド合成開口レーダー（SAR）を搭載し、災害監視や環境モニタリングなどの任務を担います。

www.newindianexpress.com

AST SpaceMobileの通信衛星、インドでの打ち上げに向けスリハリコタに到着

スマートフォンへの直接衛星通信サービスを目指すAST SpaceMobile社の商用衛星「BlueBird-6」が、インドのスリハリコタ宇宙センターに到着しました。打ち上げはインド宇宙研究機関（ISRO）の大型ロケットLVM3で、2025年11月から2026年第1四半期の間に行われる予定です。

news.mynavi.jp

IHI、フィンランドICEYEからSAR衛星を調達、最大24機のコンステレーション構築へ

IHIは、フィンランドのSAR衛星開発企業ICEYEと衛星調達契約を締結しました。2026年度初頭にまず4機でデータ取得を開始し、2029年度までに最大24機のコンステレーション構築を目指します。これにより、日本の安全保障や防災分野でのデータ活用能力を強化する狙いです。

space.com

SpaceX、Falcon 9でStarlink衛星28機を打ち上げ (Starlink 11-5)

SpaceXは日本時間10月22日、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地からFalcon 9ロケットを打ち上げ、28機のStarlink衛星（ミッション名: Starlink 11-5）を低軌道に投入しました。使用された第1段ブースター（B1075）はこれが21回目の飛行となり、打ち上げ後、太平洋上のドローン船「Of Course I Still Love You」への着陸に成功しました。

www.satellitetoday.com

Eutelsat第1四半期決算、LEO事業が70%増収で全体を牽引

欧州の衛星通信大手Eutelsatは第1四半期決算を発表し、低軌道（LEO）衛星コネクティビティ事業の収入が前年同期比約70%増の5400万ユーロに達したことを明らかにしました。この成長が、制裁等の影響で減少したビデオ事業や静止軌道（GEO）事業の落ち込みを補い、全体の売上高は2億9300万ユーロでほぼ横ばいを維持しました。

arstechnica.com

Muon Space、衛星データ高速化のためStarlinkの光レーザー通信を利用

米国の衛星開発企業Muon Spaceは、自社の地球観測衛星「Halo」にSpaceXのStarlink衛星間光通信端末「ミニレーザー」を搭載する計画を発表しました。これにより、観測データをStarlinkネットワーク経由でほぼリアルタイムに地上へ転送することが可能になり、例えば森林火災の検知通知が従来の約20分から大幅に短縮される見込みです。初号機は2027年初頭の打ち上げを予定しています。