宇宙ニュース要約: 2025年11月05日

space.com

Arianespace、Ariane 6ロケットでSentinel-1D衛星の打ち上げに成功

欧州のArianespaceは、新型基幹ロケット「Ariane 6」の4回目の打ち上げに成功し、EUの地球観測計画「コペルニクス」のレーダー衛星「Sentinel-1D」を太陽同期軌道へ投入しました。打ち上げはフランス領ギアナのクールー宇宙港から行われました。Sentinel-1Dは、天候や昼夜に左右されずに地表を観測できる合成開口レーダー(SAR)を搭載しており、災害監視、海洋安全保障、気候変動の追跡などに重要なデータを提供します。今回の成功は、Ariane 6の商業運用における信頼性を高めるものとなります。

spacenews.com

Telesat、LEO衛星網「Lightspeed」計画を推進、アンテナ企業にも出資

カナダの衛星通信大手Telesatは、低軌道(LEO)衛星ブロードバンド網「Lightspeed」計画を着実に進めています。2026年12月に技術実証衛星を打ち上げ、翌年から初期サービスを開始する予定です。計画の一環として、高性能アンテナを開発するFarcast社に500万ドルを出資し、地上端末の共同開発・量産化を目指します。

www.nationalgeographic.com

NASA、アルテミス計画用の次世代月面探査車(LTV)開発で3社を選定

NASAは、有人月探査「アルテミス計画」で宇宙飛行士が使用する次世代の月面探査車(LTV)の設計・開発を進める企業として、Intuitive Machines、Lunar Outpost、Astrolabの3社を選定しました。各社は今後1年間、実現可能性調査を行い、最終的に選ばれた1社が月南極での科学探査や基地建設を支援する車両を開発します。

spacenews.com

中国、軌道上で展開する製造モジュールの地上試験を完了

中国科学院の研究チームが、宇宙で展開・膨張して作業空間を形成する、再構成可能な製造プラットフォームの地上試験を完了しました。このモジュールは、打ち上げ時はコンパクトに折り畳まれていますが、軌道上で膨張させることで直径2m超の作業空間を作り出します。将来的に、宇宙での3Dプリンティングや新素材開発、生物医学研究などへの応用が期待されます。

space.com

JWST、約100億年前に存在する活動的な超大質量ブラックホール「BiRD」を発見

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が、宇宙誕生から約30億年後の時代に存在する、活動的な超大質量ブラックホール「BiRD（Big Red Dot）」を発見しました。この天体は、塵に覆われているために赤く見え、初期宇宙におけるブラックホールの急速な成長過程を解明する上で重要な観測対象となります。

www.intuitivemachines.com

Intuitive Machines、衛星メーカーLanterisを8億ドルで買収合意

月着陸船「Nova-C」を開発した米Intuitive Machinesが、衛星製造を手掛けるLanteris Space Systemsを現金4.5億ドルと株式3.5億ドル、総額8億ドルで買収することで合意しました。この買収により、月探査だけでなく、地球周回軌道や深宇宙ミッションにおける設計・製造・運用までを一貫して手掛ける垂直統合型の宇宙企業を目指します。

j.people.com.cn

中国宇宙ステーションに熱風オーブンが導入され、初の「宇宙BBQ」が実現

中国の宇宙ステーション「天宮」に、神舟21号で運ばれた新型の熱風オーブンが導入され、滞在中の宇宙飛行士が鶏の手羽先やステーキを調理しました。微小重力下でも安全に無煙で調理できるよう設計されており、宇宙での「焼き料理」が初めて実現しました。これにより食事のメニューは190種類以上に拡大し、長期滞在する宇宙飛行士の生活の質(QOL)向上が期待されます。

www.nikkei.com

仁科記念賞、ブラックホール撮影に貢献した国立天文台・本間希樹教授らに決定

日本の物理学分野で最も権威のある賞の一つである「仁科記念賞」の2025年度の受賞者が発表され、史上初めてブラックホールの撮影に成功した国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」の日本側代表を務めた国立天文台水沢VLBI観測所の本間希樹教授ら3氏に贈られることが決まりました。

space.com

イノウエ太陽望遠鏡、太陽コロナ加熱の謎に迫る微小な磁気波を直接観測

ハワイにある世界最大の太陽望遠鏡「ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡」が、太陽コロナを数百万度の高温に加熱している原因の謎を解く鍵となる可能性のある、微小なねじれた磁気波（トーショナル・アルヴェーン波）を直接観測することに成功しました。この波が太陽表面からコロナへとエネルギーを運んでいる可能性が示唆されています。

Spaceflight Now

SpaceX、フロリダで初のStarship発射台の建設が進行中

SpaceXは、フロリダ州のケネディ宇宙センター第39A発射施設で、超大型ロケット「Starship」用の軌道打ち上げマウントの建設を進めています。巨大な発射台の構造物が製造施設から発射点へ移動される様子が公開され、テキサス州に次ぐ第二のStarship打ち上げ拠点の整備が本格化していることが示されました。

uchubiz.com

スカパーJSAT、防衛省から約88.5億円で衛星画像データ提供業務を受注

スカパーJSATは、防衛省から、他社が保有する低軌道(LEO)の光学観測衛星が撮影した画像データを提供する業務を、税別88億5300万円で受注しました。同社は自社でも米Planet Labs社の衛星を活用したLEO地球観測網の構築を進めており、安全保障分野でのサービス提供を強化しています。

uchubiz.com

NASA、ISS関連の契約職員をレイオフ 月探査優先の影響か

NASAのマーシャル宇宙飛行センターで、国際宇宙ステーション(ISS)関連の業務に従事する契約職員数十人が解雇(レイオフ)されたことが報じられました。NASAがトランプ政権下でアルテミス計画による月・火星探査を最優先課題としており、2026年以降のISSの運用規模縮小を検討していることが背景にあるとみられています。

news.mynavi.jp

スカパーJSAT、SESに衛星容量を提供し航空機内Wi-Fi事業を強化

スカパーJSATは、ルクセンブルクの衛星通信大手SESとの協業を拡大し、静止通信衛星「Superbird-C2」のKuバンドの全通信容量を提供する契約を締結しました。SESはこの容量を利用して、日本およびアジア太平洋地域で需要が急増している航空機内Wi-Fiサービスを提供します。これにより、両社は成長市場である航空機向けコネクティビティ分野での事業を強化します。

Ace of Razgriz

中国、長征12号ロケットを文昌商業宇宙港へ輸送 11月10日に打ち上げ予定

中国の新型液体燃料ロケット「長征12号（CZ-12）」が、海南島にある文昌商業宇宙港の2番発射台へ輸送されました。11月10日に初の打ち上げが予定されており、中国の商業宇宙打ち上げ能力の向上を示すものとなります。

www.satellitetoday.com

ドイツの衛星メーカーReflex Aerospace、シリーズAで5000万ユーロを調達

ドイツの衛星スタートアップ企業Reflex Aerospaceが、シリーズAの資金調達ラウンドで5000万ユーロ（約5,760万ドル）を調達しました。同社はこの資金を活用し、光学観測や合成開口レーダー(SAR)など、顧客の要求に応じて迅速にカスタマイズ可能な小型衛星コンステレーションの開発と、バイエルン州での生産能力を拡大します。

ULA

ULA、Atlas VロケットでViaSat-3 F2衛星の打ち上げ準備が進行

ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は、ケープカナベラル宇宙軍基地からAtlas Vロケットで通信衛星「ViaSat-3 F2」を打ち上げる準備を進めています。ロケットは組立棟から発射台へ移動(ロールアウト)し、推進剤の充填作業も開始されました。ViaSat-3 F2は、アメリカ大陸全域の顧客向けに高速・大容量のブロードバンドサービスを提供することを目的としています。

abcnews.go.com

観測史上最大級かつ最遠のブラックホールフレアを検出

地球から約100億光年離れた活動銀河核で、観測史上最も明るく、かつ最も遠いブラックホールフレアが検出されました。この現象は、太陽の約30倍の質量を持つ巨大な恒星が、超大質量ブラックホールに引き裂かれ飲み込まれる「潮汐破壊現象(TDE)」によって発生したと考えられています。その明るさは太陽の10兆個分に達し、初期宇宙におけるブラックホールの成長メカニズムを解明する上で重要な手がかりとなります。

news.mynavi.jp

すばる望遠鏡、新開発の分光装置で史上最高精細の天体画像取得に成功

国立天文台は、ハワイのすばる望遠鏡に新開発の観測装置「FIRST-PL」を搭載し、単一の地上望遠鏡として史上最も高い解像度での天体観測に成功したと発表しました。この装置は、大気の影響を補正する補償光学技術とフォトニック・ランタン技術を組み合わせたもので、恒星の周りを取り巻くガス円盤の構造を従来比約5倍の精度で詳細に描き出すことに成功しました。

mynews13.com

Blue Origin、New GlennロケットでNASAの火星探査機「ESCAPADE」を打ち上げへ

Blue Origin社は、開発中の大型ロケット「New Glenn」の2回目の打ち上げで、NASAの火星探査ミッション「ESCAPADE」を打ち上げる計画です。ケープカナベラルでエンジンの燃焼試験を実施するなど準備を進めています。ESCAPADEは2機の小型衛星で構成され、火星の上層大気が宇宙空間に流出するメカニズムと、太陽風との相互作用を同時に観測することで、火星の気候変動の謎に迫ります。

ロシアと中国、国際月面研究ステーション(ILRS)の電源開発で協力合意

ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスと中国国家航天局(CNSA)は、共同で推進する「国際月面研究ステーション(ILRS)」計画の一環として、月面での活動に不可欠な電源供給ステーションを共同で建設することに合意し、覚書を締結しました。これは、将来の有人月面基地の実現に向けた重要な一歩となります。

uchubiz.com

インド、海軍向け最新通信衛星CMS-03の打ち上げに成功

インド宇宙研究機関(ISRO)は、国産の大型ロケットLVM3を使い、海軍向けの通信衛星「CMS-03（GSAT-7R）」を静止トランスファー軌道へ投入することに成功しました。この衛星は、現在運用中のGSAT-7の後継機として、インド洋地域における海軍の通信能力を強化し、作戦行動を支援します。

spaceq.ca

MDA Space、カナダの宇宙港Maritime Launch Servicesに1000万ドル出資

カナダの宇宙技術企業MDA Spaceが、同国ノバスコシア州で宇宙港を運営するMaritime Launch Servicesに1000万ドルを出資する契約を締結しました。この投資は、カナダ国内からの衛星打ち上げ能力の確立を目的としており、2026年末に予定されている初の軌道打ち上げに向けたインフラ整備を加速させます。

Starlink

Starlink、衛星から携帯への直接通信サービス利用者が800万人を突破

SpaceXが提供するStarlinkの「Direct to Cell」機能（衛星からスマートフォンへの直接通信サービス）の利用者が、サービス開始以来、世界5大陸で800万人を超えたことが明らかになりました。このサービスは、従来の携帯電話の電波が届かない山間部や海上などでも、テキストメッセージやデータ通信を可能にするものです。

news.mynavi.jp

古河電工と東大、共同開発の実証衛星「ふなで」を2026年10月に打ち上げへ

古河電気工業と東京大学は、共同で開発した超小型実証衛星「ふなで」を2026年10月に打ち上げる計画を発表しました。このミッションでは、古河電工が開発した高耐久アルミ電線やヒートパイプなどのコンポーネントの軌道上での性能を実証するとともに、東京大学が2機の衛星を用いたフォーメーションフライト技術の基礎研究を行います。

www.news9live.com

インドの有人宇宙飛行「ガガンヤーン」、初の無人試験飛行が2026年3月に延期の可能性

インド宇宙研究機関(ISRO)が開発を進める初の有人宇宙船「ガガンヤーン」について、最初の無人統合飛行試験(G1ミッション)が、当初目標の2025年末から2026年3月にずれ込む可能性が示唆されました。射場の打ち上げスケジュールが過密であることが主な理由とされています。

space.com

トランプ氏、ジャレッド・アイザックマン氏をNASA長官に再指名

トランプ大統領が、実業家で民間宇宙飛行士のジャレッド・アイザックマン氏をNASA長官に再指名しました。アイザックマン氏は決済サービス企業Shift4の創業者で、民間宇宙ミッション「Inspiration4」や「Polaris Dawn」を指揮した経験を持ちます。一度は政治的な理由で撤回された指名ですが、今回再指名されました。彼が作成したとされるNASA改革案「Project Athena」が流出し、SLSロケットや月周回拠点ゲートウェイの段階的終了、NASA業務の広範な民間委託などが提案されており、承認されればNASAの商業化を重視する政策へ大きく転換する可能性があります。

sorae.info

Vast、商業宇宙ステーションの技術試験機「Haven Demo」を軌道投入

商業宇宙ステーションの開発を目指す米国のスタートアップ企業Vastが、技術試験衛星「Haven Demo」をSpaceXのライドシェアミッションで打ち上げ、軌道投入に成功しました。この衛星は、2026年以降に打ち上げを計画している同社初の宇宙ステーション「Haven-1」に搭載される推進システムや誘導制御ソフトウェアなどの実証を行います。

space.com

日本の天文家、月面へのタウリッド流星群の衝突閃光を撮影

日本の天文家である藤井大地氏が、2025年10月30日と11月1日の2度にわたり、月の夜側で発生した明るい閃光の撮影に成功しました。これらは、毎年この時期に活動が活発になる「おうし座流星群（タウリッド流星群）」に由来する比較的小さな流星体が月面に高速で衝突した際に発生した「月面衝突閃光」とみられています。

China 'N Asia Spaceflight 🚀𝕏 🛰️

神舟20号、宇宙デブリ衝突の可能性で地球への帰還を延期

中国の宇宙ステーションでの任務を終え、神舟21号の乗組員に業務を引き継いだ神舟20号の宇宙飛行士3名ですが、地球への帰還が延期されました。中国有人宇宙工程弁公室(CMSA)によると、帰還船が微小な宇宙デブリと衝突した可能性があり、乗組員の安全を確保するため、影響分析とリスク評価を行っているとのことです。当初11月5日に予定されていた帰還の新たな日程は後日発表される予定です。

spaceflightnow.com

SpaceX、Starlink 6-81ミッションの打ち上げを予定

SpaceXは、ケープカナベラル宇宙軍基地からFalcon 9ロケットを使用し、29機のStarlink衛星を低軌道へ投入する「Starlink 6-81」ミッションを予定しています。使用される第1段ブースターは5回目の飛行となり、打ち上げ後、大西洋上に待機するドローン船「Just Read the Instructions」への着艦を試みます。